(B22)野球監督に求められるのは作戦術|『そら、そうよ ~勝つ理由、負ける理由 』感想
昨日の試合でもバットに当たる気せーへん、というレベルでエルドレッドの急速冷凍が気になりますが、ここらで休養&ロサリオ一軍再昇格とかどうなんですかね。キラは昨夜の場外ホームランで眠りから覚めたと思いたい。
「どんでん」こと岡田彰布の監督論。書店で少し立ち読みしたら意外に面白かったので購入決定。割とぶっちゃけた内容になっていて、例えば144試合のペナント・レースのうち、監督の技量で勝利できるのは3〜4試合、よくて5試合とのこと。じゃあ監督はどこでチームを勝利に導くねん、と言えば、シーズンが始まるまでにその仕事は終わっている、というわけです。そのチームに欠けているものが何かを分析し、プレシーズンでそこを補って勝利するための方程式を用意するんですな。
実例として自らの「JFK」をあげ、抑えがしっかりしているから、7回の時点で1-2点リードしているから勝てる。そこから逆算したチームづくりを行った、と述懐しています。また自分がDeNAの監督に就任したら、チーム防御率4.50に対して1試合当たりの得点は4.38なので、どうすれば5点取れるのかを考える、その方法を導き出せる引き出しの多さが監督の手腕であると書いてあります。なるほど。チーム防御率を4.00にしたほうが楽そうなんですが、そういうものでもないんですね。
その、減点主義でなく加点主義なところは野村監督(ノムケンでなくノムさんのほう)に通じるものがありますが、ノムさんが一軍監督、岡田が二軍監督時代のちょっとした摩擦についても暴露しております。面白い。星野監督についても、コーチ、選手を大量に入れ替えるのはいいけれど、それは劇薬に過ぎない=短期政権しか担えないとちくり。中途半端な選手の中途半端なトレードは中途半端な結果にしかならない、じゃあ誰が何のためにするのかと言えば、フロントが仕事してまっせ、というポーズのためにやるのだとか、言いたい放題であります。
傍目にもひどいと思わせる解任劇があったので、どうしてもオリックスについては辛辣な物言いになっております。しゃーない。
監督は中〜長期のビジョンでチームづくりをしなければならず、そのためのドラフト、トレードをしなければならない、という話に説得力があります。実際、岡田時代の阪神のドラフトはうまくいっているようで、鳥谷や上本など、岡田のセレクトは間違っていなかったんや! と思わせます。そのチームづくりが球団の「伝統」になれば、自然と勝てるチームになっていく、というわけです。この点について著者は、巨人、阪神に黄色信号が点いたと警告。
シーズンに入るまでのチームづくりは作戦。試合における采配は戦術ということになるでしょうか。作戦術が下士官に浸透していれば、それは勝ち方を知っているという意味であり、第二次大戦前半のドイツ軍のように強い組織になるわけです。フロントの仕事はロジスティクスに当たりますか。「二軍戦でT-岡田がバックスクリーンにホームランを打ったから一軍で使え」というオリックスのフロントは、「新型戦車が完成するまでツィタデレ作戦延期な」というヒトラーみたいなもんでしょうか(※諸説あり)。現場のことは現場に任せんと(アカン)。
野球に詳しい人なら「常識」と思われることが多いかもしれませんが、読めばシーズン通してのプロ野球観戦が面白くなるに違いない一冊です。
#書評
「どんでん」こと岡田彰布の監督論。書店で少し立ち読みしたら意外に面白かったので購入決定。割とぶっちゃけた内容になっていて、例えば144試合のペナント・レースのうち、監督の技量で勝利できるのは3〜4試合、よくて5試合とのこと。じゃあ監督はどこでチームを勝利に導くねん、と言えば、シーズンが始まるまでにその仕事は終わっている、というわけです。そのチームに欠けているものが何かを分析し、プレシーズンでそこを補って勝利するための方程式を用意するんですな。
実例として自らの「JFK」をあげ、抑えがしっかりしているから、7回の時点で1-2点リードしているから勝てる。そこから逆算したチームづくりを行った、と述懐しています。また自分がDeNAの監督に就任したら、チーム防御率4.50に対して1試合当たりの得点は4.38なので、どうすれば5点取れるのかを考える、その方法を導き出せる引き出しの多さが監督の手腕であると書いてあります。なるほど。チーム防御率を4.00にしたほうが楽そうなんですが、そういうものでもないんですね。
その、減点主義でなく加点主義なところは野村監督(ノムケンでなくノムさんのほう)に通じるものがありますが、ノムさんが一軍監督、岡田が二軍監督時代のちょっとした摩擦についても暴露しております。面白い。星野監督についても、コーチ、選手を大量に入れ替えるのはいいけれど、それは劇薬に過ぎない=短期政権しか担えないとちくり。中途半端な選手の中途半端なトレードは中途半端な結果にしかならない、じゃあ誰が何のためにするのかと言えば、フロントが仕事してまっせ、というポーズのためにやるのだとか、言いたい放題であります。
傍目にもひどいと思わせる解任劇があったので、どうしてもオリックスについては辛辣な物言いになっております。しゃーない。
監督は中〜長期のビジョンでチームづくりをしなければならず、そのためのドラフト、トレードをしなければならない、という話に説得力があります。実際、岡田時代の阪神のドラフトはうまくいっているようで、鳥谷や上本など、岡田のセレクトは間違っていなかったんや! と思わせます。そのチームづくりが球団の「伝統」になれば、自然と勝てるチームになっていく、というわけです。この点について著者は、巨人、阪神に黄色信号が点いたと警告。
シーズンに入るまでのチームづくりは作戦。試合における采配は戦術ということになるでしょうか。作戦術が下士官に浸透していれば、それは勝ち方を知っているという意味であり、第二次大戦前半のドイツ軍のように強い組織になるわけです。フロントの仕事はロジスティクスに当たりますか。「二軍戦でT-岡田がバックスクリーンにホームランを打ったから一軍で使え」というオリックスのフロントは、「新型戦車が完成するまでツィタデレ作戦延期な」というヒトラーみたいなもんでしょうか(※諸説あり)。現場のことは現場に任せんと(アカン)。
野球に詳しい人なら「常識」と思われることが多いかもしれませんが、読めばシーズン通してのプロ野球観戦が面白くなるに違いない一冊です。
#書評
by non-grata
| 2014-05-15 15:47
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