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おっさんノングラータ

(B18)安心の小谷野節|『頭の悪い日本語』感想

(B18)安心の小谷野節|『頭の悪い日本語』感想_d0252390_10555452.jpg話し言葉ならともかく、いや、それも抵抗あるんですが、「なので」から始まる文章って気持ち悪いよね、という話がありまして。『太平洋戦争のロジスティクス』の評判が良かったので期待して読み始めたのですが、「はじめに」だけならともかく、本文中でも文頭「なので」が使われていて、「そっ閉じ」してしまいました。内容がどれだけ良くても、どうにも読み進める気になれなかったわけです。

そんな折りに書店で目にしたのが本書。「なので」は、まさに「頭の悪い日本語」に思えるのですが、まだまだ許容範囲なのでしょうか。

本書はまえがきにある通り、「誤用日本語の本を書くつもりだったが、そのうち、自分の気に入らない最近の表現や、言葉狩り、言葉豆知識なども」入った実用的かつ趣味的にも楽しめる内容。第一部気持ちの悪い日本語①誤用編では、「すべからく」「役不足」といった有名どころはさすがに知っていても、「かたわら痛い/片腹痛い」や「翻案/再話」など、気をつけないと絶対に間違える誤用指摘もちらほら。各項目に添えられたエピソードも楽しい。「破瓜」って女性16歳、男性64歳のこととは知りませんでした(処女喪失でも間違いではない。第二部日本語勘違い⑨エロティック編)。

その他、気になった項目は次の通り。

実事(変換できません) アレの意味もあるそうで、「『性』にしても、徳川期にはセックスという意味はまったくなかったのだから、日本人が漢字や漢語に新しい意味を付与してゆく能力というのは、すごいものがあると思う」。

ワナビ ネット・スラングのことですが、知りませんでした。主として小説家を目指している若者のことを指すそうで、「『2ちゃんねる』の『創作文芸板』はワナビの集うところである」なんて書かれています。チェックされているんですね。

彼女 日本語に「かれ」はあっても「彼女」はなかったそうです。明治になって西洋語の訳語としてつくられたそうで、夏目漱石は「彼女」を使うのを嫌ったとか。

許で 仕事でこれを使っても読んでもらえない事案多数。しまいに平仮名で書くようになりましたが、これからはちゃんと使おう。

ホームページ 昔はwebサイトのことをそう思っていたのですが、サイトのトップ・ページを指すのだと知ってからは誤用しないよう注意しております。が、日本、韓国、ドイツでは慣例的にそう呼ぶんだそうです。確か『帰ってきたヒトラー』でもそんな表現が使われていました。

ためになるばかりでなく、笑える話も多いので、トイレにでも常備しておいて、思い出したように読みたい一冊です。






by non-grata | 2014-05-02 11:44 | 読書

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