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おっさんノングラータ

(B14)ドラマはどうなる!?|『弱くても勝てます』感想(★★★★★)

(B14)ドラマはどうなる!?|『弱くても勝てます』感想(★★★★★)_d0252390_18513018.jpg明日からドラマの放映が始まるんですね。そうとは知らずに最近、文庫版を購入しました。平成17年夏に東東京予選ベスト16まで勝ち進んだ進学校の野球部に関するノンフィクションです。副題通り「開成高校野球部のセオリー」です。

ノンフィクション・ライターの高橋秀美が開成高校野球部を追っかけていく、という内容で、野球同様9回=9章の章立てになっております。その全ての章で高校野球の「常識」とかけ離れた開成高校野球部のセオリーが紹介される趣向です。そんなわけで9回もそれをやられるとさすがに飽きてきますが、それは固定観念に囚われているからだと、はたと気づかされます。

知らず知らずのうちに9章ある=9人いる=打線が組める、ならば第1章はとりあえず出塁して、第2章で進めて、中盤から一気に盛り上げて……などとメリハリを期待してしまいますが、開成高校野球部のセオリーではそれこそ「ナンセンス」なのです。強い打球を打てる選手を1番からずらっと並べ、打「線」ではなく、「輪」として考える。8番9番の次が1番2番。抑えられると思った8番9番に出塁されてショックのところを1番2番が畳みかけて敵の戦意を挫くわけです。そう考えると、本書も一番面白かったのは最初の2章で、途中からだんだん飽きが来る……のだけど、終章で、「え、どういうこと?(何があかんかったんや?)」と思って第1章に戻ると、そこでガツンとやられる趣向です。いやほんと。

「野球は守備から」と言いますが、点取らなければ勝てないし、1試合にアウトは27個しか取れない=野手平均で3個のアウトしか取れないことを考えると、少ない練習時間を削って守備練習をしても仕方がない、というのはなかなか考えさせられます。広島カープはもう少し打つべき。

元巨人の桑田真澄が解説を書いていて、これがまた面白かった。スコアボードにEの表記があるのは、エラーするのは仕方がないという証。エラーを繰り返さないように考えることが大事、という話は、会社の朝礼に使えそうです。

よくよく考えると、開成高校野球部の戦い方は第二次世界大戦のドイツ軍ですよね。新戦術で敵に心理的なダメージを与え、主導権を取り続け、立ち直る暇を与えない電撃戦。しかしソ連軍に通用しなかったように、選手層という縦深を持つ本当の強豪校は、容易には倒せないんじゃないでしょうか。が、バルバロッサ作戦でドイツ軍が勝利するかもしれないというくらい、開成高校野球部の甲子園出場にはロマンがあります。

ドラマの公式サイトには原作にはいなかった女子マネージャーらしき姿があって、ドラッガーを持ち出さないかと不安と期待で一杯です。






by non-grata | 2014-04-11 19:13 | 読書

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