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おっさんノングラータ

(B13)『LIFE!』の結末に涙する|『レッドスーツ』感想(★★★★★)

(B13)『LIFE!』の結末に涙する|『レッドスーツ』感想(★★★★★)_d0252390_1544431.jpg日経新聞の書評で評価の高かった新☆ハヤカワ・SF・シリーズの一冊。実のところ書評を読んでもピンとこなかったのだけど、なるほど、ネタバレになるから仕方がないね。

銀河連邦宇宙艦隊旗艦〈イントレピッド〉は、宇宙探索の航海中。旗艦でありながら最前線で酷使されるのは、〈ヤマト〉や〈エンタープライズ〉と同じ原理です。その〈イントレピッド〉の遠征が、やたら危険に満ちたものになるのも同じ。常に誰かが命を落とし、けれどもいつも遠征に参加する「主な登場人物」たちは必ず生還する。

そんなわけで、遠征のたびに欠員の出る〈イントレピッド〉は常に乗員補充の必要に迫られる。そんな中、新規配属された主人公たちがこの現象に疑問を抱き、解明に乗り出す──というのが大筋です。

前半をやや退屈気味に読んでしまった人は、作者の術中にはまります。私がそうでした。この異常現象の原因を突き止めてからは怒濤の展開で、ページを繰る手を止められないでしょう!星一つ。ここから先は少々ネタバレ。

「レッドスーツ」とは、スタートレックのテレビ・シリーズ『宇宙大作戦』の保安員を指します。赤い服を着た無個性なモブ男(しかもやられ役)のことで、ファンが生み出したスラングなんだそうです。ドラマを盛り上げるためにはしゃーない、死んでくれ、てなもんです。『宇宙戦艦ヤマト』における第三艦橋勤務みたいな位置づけですな。『2199』は健在でしたが。

視聴者は、「主な登場人物」に感情移入してドラマを見るでしょうから、レッドスーツの一人や二人が生きようが死のうが気にもかけないわけです。しかしもちろんレッドスーツにも劇中では描かれない人生があるのです。それが予想外の方法で明らかになります。星一つ

で、思わずにはいられないわけです。果たして自分はレッドスーツなのか、それとも「主な登場人物」に入れるのかと。

客観的にはいろんな見方ができるでしょうか、自分の人生なんだから、本当は主観的に考えるべきです。テレビ・ドラマでは描かれないかもしれないが、レッドスーツがちゃんと仕事をしているからこそ、〈イントレピッド〉だって航海を続けられているんだ──職業に貴賎なし、というのとも違うな。大事なものは身近にあるよ、ということを教えられる点が、映画『LIFE!』に通じるのです。

感心させられ、笑わされ、最後の奇跡に泣かされと、忙しい一冊でした。星三つ






by non-grata | 2014-04-09 09:28 | 読書

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