中長期のトレンドは円高か?|『日本経済「円」の真実』感想
REGZAで録画したデータをBDに焼くのにえらく時間がかかる、とぼやきましたが、原因は無線LANの速度。REGZAとPCは同じ無線LAN子機を介して有線LANで接続されているはずなんですが、PCの無線LANが優先されてしまったのが転送速度の低下を招いた模様。無線LANを無効にした途端、28Mbps程度の転送速度が得られたのでした。年末年始、レグザリングしない時間帯狙って『シュタインズ・ゲート』をBDに書き出したい。
『ヒトラーの秘密図書館』を読んでそう感じたんですが、自分も自分の考えを補強するために読む本を取捨選択してしまう傾向があります。新書は特にそう。ワンフレーズ・ポリティクスよろしくタイトルで全てを語ろうとするもんだから、例えば「TPPで日本経済復活? 胡散臭い!」と表紙だけで拒否反応を示してしまい、時間の無駄とばかり手を出すことはありません。「世界同時恐慌のリスクが高まっている」なら、「だよねー」と同意しつつレジに持って行くわけです。インターネット、特にツィッターは同じような考えの人をフォローする傾向が高く、そんなつぶやきばっかり見ていたら考え方が硬直化するので危険、みたいな論調がありますが、何のことはない、本だって同じ危険が潜んでいる。結局、リテラシーの問題なんですね。
本書は最近の経済に関するニュースや通説に、「ミスター円」こと榊原英資氏が反論を加える内容。例えば、
「為替介入で円高を是正せよ」→「円高じゃないし、効果ないし」
「金融緩和で円高解消」→「十分緩和しているし、金融緩和じゃ為替誘導できないし」
「助けて! 円高が止まらないの」→「名目と実質実効レートで語れ」
とまあこんな感じ。初版発行が10月17日で購入した4刷の発行日は11月15日。野田内閣解散後に途端に円安に振れ、安部首相が日銀にさらなる金融緩和を要請したもんだからさらに円安が進みと、短期で見ると、冒頭で語られる「真実」がことごとく外れているなかなか香ばしい展開です。また、
「円高が輸出企業を苦しめている」→「円高以外に原因があるだろう」
としていて個人的には同意なんですが、円安になった途端に株価が上がり始めているのも微妙な感じです。
と、短期で見ると大丈夫か、この本? となりますが、1日5兆ドル動く為替市場に対し、はした金程度の金融緩和策が影響するとも思えないし、アメリカやユーロで明るい話題は聞かないしで(財政の崖ってどうなっているんですかね。あと5日しかないんですが)、そう考えると著者が書いている通り、まだ安全と思える円を買おうとする動きに戻りそうな気がします。戻らないとすれば日本国際が暴落する時で、原資がない中、国債をばんばん発行して公共工事を乱発するようなことがあれば、それも否定できんよなあ、と思ったりするわけです。
で、安部首相は「強い経済を取り戻す」と会見で述べていましたが、「日本経済は成長期から成熟期に入ったんだから、成長戦略はもう不要なんじゃない?」というのが本書の主張。人口も減るし、成長率なんて1〜2%程度でいいじゃん。
がつがつ生産して輸出して、借金して内需拡大して、円安で輸入コストが上がってもそのぶんを輸出でカバーしてという昭和スタイルが通用するならいいんですが、人口も減るし、耐久消費財もだいたい行き渡っているし、これ以上の内需を喚起するのが難しいのなら、円高の恩恵を受けて価格を安定させて、「サービス」など無形の価値を輸出するほうがいいんじゃないかなあと思ったりするわけです。円高万歳。
円高どんとこい、TPP反対、成長戦略まんどくせ、がモットーの自分には、何とも都合の良い一冊でした。
『ヒトラーの秘密図書館』を読んでそう感じたんですが、自分も自分の考えを補強するために読む本を取捨選択してしまう傾向があります。新書は特にそう。ワンフレーズ・ポリティクスよろしくタイトルで全てを語ろうとするもんだから、例えば「TPPで日本経済復活? 胡散臭い!」と表紙だけで拒否反応を示してしまい、時間の無駄とばかり手を出すことはありません。「世界同時恐慌のリスクが高まっている」なら、「だよねー」と同意しつつレジに持って行くわけです。インターネット、特にツィッターは同じような考えの人をフォローする傾向が高く、そんなつぶやきばっかり見ていたら考え方が硬直化するので危険、みたいな論調がありますが、何のことはない、本だって同じ危険が潜んでいる。結局、リテラシーの問題なんですね。
本書は最近の経済に関するニュースや通説に、「ミスター円」こと榊原英資氏が反論を加える内容。例えば、
「為替介入で円高を是正せよ」→「円高じゃないし、効果ないし」
「金融緩和で円高解消」→「十分緩和しているし、金融緩和じゃ為替誘導できないし」
「助けて! 円高が止まらないの」→「名目と実質実効レートで語れ」
とまあこんな感じ。初版発行が10月17日で購入した4刷の発行日は11月15日。野田内閣解散後に途端に円安に振れ、安部首相が日銀にさらなる金融緩和を要請したもんだからさらに円安が進みと、短期で見ると、冒頭で語られる「真実」がことごとく外れているなかなか香ばしい展開です。また、
「円高が輸出企業を苦しめている」→「円高以外に原因があるだろう」
としていて個人的には同意なんですが、円安になった途端に株価が上がり始めているのも微妙な感じです。
と、短期で見ると大丈夫か、この本? となりますが、1日5兆ドル動く為替市場に対し、はした金程度の金融緩和策が影響するとも思えないし、アメリカやユーロで明るい話題は聞かないしで(財政の崖ってどうなっているんですかね。あと5日しかないんですが)、そう考えると著者が書いている通り、まだ安全と思える円を買おうとする動きに戻りそうな気がします。戻らないとすれば日本国際が暴落する時で、原資がない中、国債をばんばん発行して公共工事を乱発するようなことがあれば、それも否定できんよなあ、と思ったりするわけです。
で、安部首相は「強い経済を取り戻す」と会見で述べていましたが、「日本経済は成長期から成熟期に入ったんだから、成長戦略はもう不要なんじゃない?」というのが本書の主張。人口も減るし、成長率なんて1〜2%程度でいいじゃん。
がつがつ生産して輸出して、借金して内需拡大して、円安で輸入コストが上がってもそのぶんを輸出でカバーしてという昭和スタイルが通用するならいいんですが、人口も減るし、耐久消費財もだいたい行き渡っているし、これ以上の内需を喚起するのが難しいのなら、円高の恩恵を受けて価格を安定させて、「サービス」など無形の価値を輸出するほうがいいんじゃないかなあと思ったりするわけです。円高万歳。
円高どんとこい、TPP反対、成長戦略まんどくせ、がモットーの自分には、何とも都合の良い一冊でした。
by non-grata
| 2012-12-28 11:42
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