反ポピュリズム論
全6章で構成されるが、そのうち4章はポピュリズム批判、他の2章は自身が仕掛けた「大連立構想はなぜ失敗したか」と、著者が提言する経済政策を解説した「日本をギリシャ化させないために」。
ポピュリズム批判には概ね同意。残念ながら新聞>ラジオ>テレビ>インターネットというメディアの格付けも正しいだろう。個人的には新聞不要論者だし、テレビもなくて構わない、インターネットがあればとりあえず困らないというタイプだが、それでも時間がある週末の朝に新聞を読めば、あの産経新聞でさえ(失礼)なかなか勉強になる。テレビやインターネットに溢れるサウンドバイト・ジャーナリズムではわからない背景が、人によっては無駄と感じられる紙幅を費やして描かれているからだ。
サウンドバイト・ジャーナリズムは無駄がないぶん、手っ取り早くわかった気にさせてくれてありがたいのではあるが、切り取り方には必ずバイアスがかかっている。
また無駄と思えるかもしれないが、やはり言葉を尽くすということも重要だ。決められない政治も問題だが、十分に議論されないまま結論を問われても困るのだ。もともとワンフレーズ・ポリティクスはYesかNoかの二元論に陥りやすく、本当は二択以外に選択肢があるのにそれが隠される。「断片的・瞬間的制約から、事実を過度に圧縮し、議論を単純化し、説明を省く結果、事実が捻じ曲げられてしまう」(同書より引用)。この点だけでも、どうにもポピュリズムには危機感を抱いてしまうのである。
経済政策については、ナベツネ氏の姿勢はTPP参加賛成。CIAの手先という噂があるのでごもっとも。ご丁寧にもルーズヴェルトのニューディール政策でアメリカが大恐慌を乗り切ったことに対し、そうではなく第二次世界大戦が景気回復の起爆剤になったとする経済学者もいると、わざわざ注釈を加えている。ニューディール政策は、孤立化して内向きの公共投資をじゃんじゃんやろうというケインズ的政策なのでTPPとは正反対。同じ反ポピュリズムの藤井聡、中野剛志がTPP参加に反対しているのが興味深い。
公共投資はやりましょう、ただし箱物ではなく福祉に。厚生労働省の2004年の試算によれば、建築土木に比べて景気や雇用に対する影響は、医療介護のほうが大きいのだという(そりゃあ、そう言うでしょう)。そのための財源は国民のタンス預金。金利ゼロまたはマイナス金利の国債を発行して、それを買ってもらおうというのだ。普通に相続することを考えれば、ゼロまたは多少のマイナスでも「お得」というわけである。これには元ネタがあって、1950年代のフランスでは成功したのだという。相続するものもさせるものもない身としては、これがどの程度の動機になるのか、なかなか想像がつかない。
ポピュリズム批判には概ね同意。残念ながら新聞>ラジオ>テレビ>インターネットというメディアの格付けも正しいだろう。個人的には新聞不要論者だし、テレビもなくて構わない、インターネットがあればとりあえず困らないというタイプだが、それでも時間がある週末の朝に新聞を読めば、あの産経新聞でさえ(失礼)なかなか勉強になる。テレビやインターネットに溢れるサウンドバイト・ジャーナリズムではわからない背景が、人によっては無駄と感じられる紙幅を費やして描かれているからだ。
サウンドバイト・ジャーナリズムは無駄がないぶん、手っ取り早くわかった気にさせてくれてありがたいのではあるが、切り取り方には必ずバイアスがかかっている。
また無駄と思えるかもしれないが、やはり言葉を尽くすということも重要だ。決められない政治も問題だが、十分に議論されないまま結論を問われても困るのだ。もともとワンフレーズ・ポリティクスはYesかNoかの二元論に陥りやすく、本当は二択以外に選択肢があるのにそれが隠される。「断片的・瞬間的制約から、事実を過度に圧縮し、議論を単純化し、説明を省く結果、事実が捻じ曲げられてしまう」(同書より引用)。この点だけでも、どうにもポピュリズムには危機感を抱いてしまうのである。
経済政策については、ナベツネ氏の姿勢はTPP参加賛成。CIAの手先という噂があるのでごもっとも。ご丁寧にもルーズヴェルトのニューディール政策でアメリカが大恐慌を乗り切ったことに対し、そうではなく第二次世界大戦が景気回復の起爆剤になったとする経済学者もいると、わざわざ注釈を加えている。ニューディール政策は、孤立化して内向きの公共投資をじゃんじゃんやろうというケインズ的政策なのでTPPとは正反対。同じ反ポピュリズムの藤井聡、中野剛志がTPP参加に反対しているのが興味深い。
公共投資はやりましょう、ただし箱物ではなく福祉に。厚生労働省の2004年の試算によれば、建築土木に比べて景気や雇用に対する影響は、医療介護のほうが大きいのだという(そりゃあ、そう言うでしょう)。そのための財源は国民のタンス預金。金利ゼロまたはマイナス金利の国債を発行して、それを買ってもらおうというのだ。普通に相続することを考えれば、ゼロまたは多少のマイナスでも「お得」というわけである。これには元ネタがあって、1950年代のフランスでは成功したのだという。相続するものもさせるものもない身としては、これがどの程度の動機になるのか、なかなか想像がつかない。
by non-grata
| 2012-09-11 16:12
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