チャーチルの亡霊──危機のEU
「27歳の新鋭が新資料発掘!」との惹句が空回りする感のある一冊。タイトルからは、現在、EUが直面している危機は、まるでチャーチルの亡霊が引き起こしているのではないか? と想像される。「EUの父」と呼ばれるクーデンホーフは汎ヨーロッパ主義を唱え、大英帝国はそれには参加せず、外部からコントロールすることを目指したチャーチルは、最初はその運動に賛意を示しつつも途中で乗っ取ろうとして(本書の前半はこのやり取りに費やされる)、結局はうまくいかなかったわけだけれど、なるほどその意味では「チャーチルの亡霊」がEUの足を引っ張っているように見えなくもない。そこに興味がある人は終章だけ読めばよく、新書特有の細切れ編集のお陰もあって、結論にたどり着くまでがなかなか大変だった。
しかし、思えばヨーロッパの統合とはドイツとフランスをどう仲良くさせるか? につき、第二次世界大戦後に両国で締結されたシューマン宣言こそ、EUの礎のように思える。イギリスが外からヨーロッパを管理するなんて、ナポレオン時代の発想ではなかろうか。そりゃあチャーチルが「最後に仕掛けた『ヨーロッパ統合』は」失敗するだろう。
しかし、思えばヨーロッパの統合とはドイツとフランスをどう仲良くさせるか? につき、第二次世界大戦後に両国で締結されたシューマン宣言こそ、EUの礎のように思える。イギリスが外からヨーロッパを管理するなんて、ナポレオン時代の発想ではなかろうか。そりゃあチャーチルが「最後に仕掛けた『ヨーロッパ統合』は」失敗するだろう。
by non-grata
| 2012-09-03 15:56
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