おっさんノングラータ

(B28)よくわかる真田幸村|『華、散りゆけど』感想

2014年も早折り返しです。前半最後の6月は、台湾で食中りに遭い、1週間ほど悶絶しておりました。台所をネズミが這っているようなちまき屋が悪かったのか、ホテルの朝食で生野菜を食べたのがいけなかったのか。これまでそんなことはなかったのですが、単に加齢とともに免疫力が低下しているだけかもしれません。

ブログを放置している間にも本を読んだり映画を観に行ったりはしておりました。

d0252390_1563186.jpg仕事で「大坂夏の陣」を調べる必要があって、雰囲気を掴むのに歴史小説を読んでおこうと、書店でたまたま見つけた一冊。「真田幸村連戦記」と副題にある通り、「冬の陣」「夏の陣」を真田幸村がいかに戦ったかが描かれています。ただ、戦闘描写は全体の半分以下、一番興味があった夏の陣は冬の陣よりボリュームが抑えられていたのが残念。蟄居していた九度山を出て大坂城へ入り、真田丸を構築するあたりが一番盛り上がります。

★軍事に優れた父親と、政治に秀でた兄を持つ幸村ですが、大坂城における軍評定での描かれ方から、なかなかディプロマティックな才能も持っていたようです。しかしはるかに政治力を持つ家康に叶おう筈もなく。戦術的勝利では戦略的劣勢を挽回できないというやつですね。

★真田丸築城の件では、実に魅力的な「大将」に描かれています。岸和田のやんちゃくれも思わず惚れてしまう男っぷり!

★幸村の最期には諸説あるそうですが、『大坂の陣と真田戦記』によると、史実では松平忠直の家臣、西尾仁左衛門との一騎打ちで倒されたことになっています。本書では『細川家記』に近い扱いで、疲れ果てて休んでいるところに敵と出くわして……ということになっていますが、これはこれで悪くはない終わり方。

★幸村は家康本陣に突入し、大狸を討ち取りますが、それが本物なのか影武者なのかわからない──どうだっていい、という終わらせ方に、徳川方、豊臣方双方の厭戦気分が表されています。

★伊達と因縁浅からぬことになるのであれば、天王寺の戦いはやっはりもう少しボリュームが欲しかった!

さくさく読めるので、大坂の陣の概要を掴んでおきたい人にお勧めです。



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# by non-grata | 2014-07-02 15:31 | 読書

(M14)エンドロールが熱かった|『キカイダーREBOOT』感想

 子どもの頃は『仮面ライダー』ならライダーマン、『キカイダー』ならハンペン(服部半平)と、フリーランスな立場で主人公たちを助ける立場に憧れていました。あれから40年、思いっきり宮仕えの身ですが。ちなみに「はんぺん」なる食べ物が存在することを知ったのは成人した後のこと。

d0252390_14561327.jpg 『キカイダーREBOOT』の企画が持ち上がったのは、テレビ放映が開始された1972年から40年後の2012年のこと。KADOKAWA代表取締役専務の井上氏の発案で始まった企画ですが、リンク先のインタビューにある通り、40周年はちと遅い印象があります。30周年と違ってターゲットを絞りにくい──30周年なら親子2世代狙い撃ち、という作戦が取れます。40周年でもそれはできないことはないけれど、子の想定年齢は高くなる。普通に大人の鑑賞に堪える作品にしないといけないわけです。

 ああ、小さな子ども向けの作品が「子供だまし」でいいわけはなく、真面目につくられた作品は世代に関係なく評価されるべきなのですが。念のため。

 「『キカイダー』は“ダメさ加減”がたまらない」のは確かにそうで、ヒーローなのに完全ではない、ギルの笛に惑わされる、葛藤もある、すぐに壊れる、壊れたら女の子に修理してもらう、など、「ダメ」なロボット=アンドロイドでした。『REBOOT』でもそこはある程度、踏襲されているものの、光明寺博士(まさかの長嶋一茂)、娘と息子を危険から遠ざけるためにと、「光明寺ファイル」をマイクロSDカードに保存して、こっそり息子の体内に埋め込むのはどうかと思う。そりゃあ敵対勢力は息子を追いかけますって。危険から遠ざけるどころか火中に放り込んでどうする。基本設定の“ダメさ加減”はいただけません。

 もっとも、そうしないとジロー/キカイダーの任務が不要になってしまうわけですが。けれど、日本経済再生をロボット産業にかけよう→実は軍事転用も視野に収めていました、という(よくある)現代劇にアレンジするのであれば、『オール・ユー・ニード・イズ・キル』のように大胆に翻案しても良かったのではないかと思います。「良心回路」の設定とテーマさえ外さなければ。

あ、くどいくらいのキカイダーとハカイダーの殴り合いは嫌いではありません。拳で語り合う的な意味で人間臭くて。最後はアレを使いますが。



#映画レビュー
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# by non-grata | 2014-05-27 15:43 | 映画

(B26-27)安定のトラブル・シューティング|『私と月につきあって』『魔法使いとランデヴー』感想

 思ったより早く米AmazonからDVDが届きました。送料込みで5,000円くらいか。リージョン・コードは違いますが、パソコンなり、ファームウェアいじったパイオニアのDVDプレイヤーなりで再生できるので、特典不要なら北米版のほうが断然お得ですね。

 クレジットは2008年で、アニメ化されたのは小説が出版された10年後くらいか。今の目で見ると、作画が微妙に残念だったり、CGIの解像度(ディテール)が不足しているなど、なかなか微笑ましく感じられますが、毎週放映されていたら楽しみに見るレベルじゃないでしょうか。まだ2話までしか見ていませんが。

d0252390_141029100.jpg 第3巻ではフランス主導ながら、ついに月まで行ってしまいます。第4巻は短編集で、最後ははやぶさ(作中では「はちどり」)が登場します。ミッション→訓練→ミッション中のトラブル→クリア→やれやれ→びっくりするようなトラブル→びっくりするような方法でクリア、という、安心のロケットガール展開。

 クレメンタインの調査では、月面高緯度地方に永久氷河があるという可能性が示唆され(1994年)、本作が書かれた時点では(1999年)そんな夢があったわけですが、かぐやなどの調査でその可能性は否定されております(あとがきより)。となると、作中に登場する驚きのトラブル・シューティングは実現不能になってしまいますが、月面基地ができるようなら応用できそうなアイディアです。

 第4巻に収められている短中編はどれも軽妙洒脱で面白い。はちどり回収話にはスペーステザーが登場するものの、あまりにスケールが大きすぎて頭の中でうまくビジュアル化できなかったので、テザー推進理論の解説込みで映像化して欲しい。今ならフルCGアニメで全編リメイクとかどうですかね?

 作中の科学考証が適切かどうかわからないレベルの読書人なので、宇宙開発の物語は科学的でもあり呪術的でもあります。その両方が一緒くたになった『ロケットガール』を読んでいると、途中、リアルなんだかうまく騙されているのか不思議な気持ちにさせられますが、読後は幸せな気分になって、「最後は精霊が何とかしてくれるから」と、現実の宇宙開発も全面的に応援したくなります。



#書評
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# by non-grata | 2014-05-22 14:43 | 読書

(B24-25)『リビジョン』『リアクト』感想

d0252390_10431235.jpg 何なんでしょうかこの、『劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語』を観た後のような印象は。『リビジョン』の面白さが『リライト』頼みになっていて、『リアクト』がさらに『リビジョン』頼みになっているのが、どうにも残念。

 シリーズもの、続きものはそういうもんよ、という割り切りができればいいのですが、それができないくらい前作が好きすぎる、ということもありまして。前作ありきな続編を見せられると、前作も「実は続編ありきでしてね。実はこの設定は後でこう生きてくるんですわ」と後出しで教えられて、何とももにょっとした気持ちになるわけです。法条遥が最初から壮大な構想を持って『リライト』を書いたのかどうかは知りませんが。

 続編は、前編の後日談という時間の流れになるのが一般的ですが、タイムリープものは後編であっても前編の過去に遡れてしまう。そこで話を変えられたり、あるいは前編をライブで見て素直に感動したエピソードの裏には実は……という後づけの種明かしがされると、普通にクソみたいな続編を見せられるよりもダメージが大きくなるわけです。

 タイムリープ(ループ)ものの続編でうまくいった例では、『劇場版『STEINS;GATE』があげられるでしょうか。後日談としても機能しており、前編で説明不足だったところを補ってもいて。その他の派生作品は知らないですが。

 『リビジョン』『リアクト』に関しては、テーマを本質的に理解できていないところもあります。法条遥のファンが社内にいたように思うので、そのうち解説を請おう。




#書評
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# by non-grata | 2014-05-21 11:06 | 読書

(M13)専業主婦には(多分)きっつい映画|『ブルージャスミン』

 自宅から一番近い映画館はMOVIX堺、無難なシネコンなんですが、ウディ・アレンの新作『ブルージャスミン』上映していて驚きました。スタッフにファンがいるのか。上映2週目、土曜日正午からの回というコンディションでしたが、観客は堂々の2名。おっさん&おっさんですよ。

d0252390_14121647.jpg 以前観た『ミッドナイト・イン・パリ』のような軽妙さはなく、シリアスな展開です。投資家の夫を失い一文無しとなった姉(ケイト・プランシェット)は、サン・フランシスコに住むシングル・マザーの妹(サリー・ホーキンス)の許へ転がり込む。都落ちしたセレブと典型的なブルー・カラーの二人がしっくりくるはずもなく、しかし姉は妹に頼らなければ住むところに困るという現実があり、妹も姉の成功体験が自分にも訪れるのではないかという期待がある。

 登場人物の信条は「他力本願と責任転嫁」のようで、およそヒーロー、ヒロインからは縁遠いのですが、リアリティがあり、嫌でも誰かと感情移入してしまいます。例えば、「この資格を取れば良い仕事に就けて生活も安定する」(他力本願)とか、「この男と一緒になれば楽に暮らしていける」(これも他力本願)とか、「今がクソみたいな生活なのはあいつの口車に乗ったせい」(責任転嫁)とか、身につまされるようなエピソードが盛り込まれています。

 他力本願と責任転嫁の行き着く先はブランド信仰で、誰かが良いと評価してくれるものを盲信して良いものだと勘違いしたり、勝手に裏切られたりするわけです。ホワイト・カラーもブルー・カラーも、男たちが皆、女をモノ扱いするブランド信仰者として描かれているのが実に辛辣。

 あ、一人だけ例外がいました。彼だけは自分の価値観を持って生きており、「姉」は最後に自分にそれが欠けていたことを知って慟哭してしまったのではないでしょうか。




#レビュー
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# by non-grata | 2014-05-20 15:11 | 映画

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