おっさんノングラータ

<   2014年 04月 ( 6 )   > この月の画像一覧




(B17)今年の暫定ベスト1!!|『オービタル・クラウド』感想(★★★★★)

d0252390_1544433.jpgGeneMapper-full build-』も面白かったけれど、本作はそれをはるかに超える内容でした。

構成がお見事 イランでお手製の小型ロケットを飛ばし、何やら実験を行う学生。商業軌道ホテル。地球に落下する小隕石に関する情報を天体観測マニアに提供する「メテオ・ニュース」。「宇宙」というキーワードでのみ結びつけられる、場所も置かれた環境もばらばらの人たちの思いと行動が、物語が進むにつれて一つに収斂されていきます。こういう展開、好きなんです。燃えます。

何かとリアル 少しだけ先の未来の話なので、登場するガジェットが存在感を持っています。メガネ型のウェアラブルな端末なんて5年前なら「中二病的な」と形容されそうですが、実用化されていますもんね。敵も味方もスマートフォンが最大の武器というのも納得。

小型軽量高性能省電力CPUならああいう使い方もできるし、(原理はわからないけれど)並列処理させれば安価なスパコンになるわけですね。騙されているかもしれないけれど、大いに納得させられます。

天才ハッカーの名が「アカリ」 『キャプテン・アース』と一緒じゃないですか! 髪の毛の色もオレンジ色だし……というのは関係ないですね。カズミ君もアカリさんも極めて優秀なのにwebの請け負い屋をしていて、しかも日本を向いて仕事をしていないところにリアルを、あるいは近い将来のリアルを感じてしまいます。

ミステリとしても秀逸 イランから打ち上げられたロケット。それ自体におかしなところはないのですが、切り離されて地表に落下するはずの2段目のボディが落ちてこない。いやわずかに高度を上げている。これは一体? というところから物語は始まります。もしやこれは「神の杖」では?

本筋とは関係ないところでNORAD(北アメリカ航空宇宙防衛司令部)の迎撃作戦が展開されるのですが、これがまた熱い。イーグル(F-15)マニアは胸が熱くなること請け合いです。

問題提起も興味深い こんな場末のブログを読んでいる人もそうそういないと思いますが、本書は先入観なしで読んでもらいたいので、ストーリーの展開に関わることには触れません。エンターテインメントとして楽しめるだけではなく、組織論や危機管理、果てはこれからのビジネスの在り方についてまで、いろいろと考えさせられます。

序盤で明かされるキーワードの一つなので問題ないでしょう、テザー推進が物語の重要な鍵となります。これが敵に回ると厄介な存在になるのですが、対策が見つかった時、新たな可能性へと「跳躍」します。結末へと向かう怒濤の展開は鳥肌ものです。

昨年末に観た『ゼロ・グラビティ』もたいへん面白いSF作品でしたが、本作も予算かけて映像化してくれませんかね。



[PR]



by non-grata | 2014-04-25 16:20 | 読書

(B16)このもどかしさは|『ビブリア古書堂の事件手帖 (5) ~栞子さんと繋がりの時~』感想(★★★★★)

d0252390_1319649.jpg人気の古書ミステリ・シリーズです。4巻も読んでいるはずですが、記録がない(3巻の感想はこちら)。3巻では八海山飲んでたんですね。

今回は3章、順に『彷書月刊』『ブラック・ジャック』『われに五月を』をめぐるミステリが主題となっていて、そこは安定の面白さ。星三つ。エピソードと謎との結びつきはどうしても力業になってしまいますが、それでも面白く読めてしまうのはさすがです。星一つ。そして恐らくは今回初めて「断章」が設けられており、大輔視点では見えなかったことが、栞子視点で語られます。これがまた味わい深い。で、星一つ

シリーズ全体を通して見ると、二人の関係がようやく一歩前進。このもどかしさは『めぞん一刻』に通じるものがありますね(たとえが古いのはおっさんだから)。けれど、それで間違っていないことは、志田さんの言葉からも明らかです。

「そうやってくっついたり離れたりしてよ、怒ったり笑ったりする時間が、お前らにはたっぷりあるんだなって思ってよ……俺らみたいな年寄りとは、まるっきり違うんだ」

いやあ、若いっていいですね(いつの間にか主人公の父親くらいの年齢になっていたことに軽く目眩を覚えつつ)。



[PR]



by non-grata | 2014-04-16 13:25 | 読書

(B15)田舎暮らしを検討しています|『限界集落株式会社』感想(★★★★★)

d0252390_16391176.jpgいろいろあって都会での生活に疲れたエリートが、地縁のあるド田舎で休養しようとしたところ、これまたいろいろあって消滅寸前の村の再興に乗り出すという話。もちろん最後はハッピー・エンド。さすがにこりゃご都合主義じゃなかろうか、と思えなくもないが、可能性を示してくれるからいいんです。

お話の中とは言えうまくいくには相応の理由があって、

農業法人としてまとまれる規模の村であったこと。ご先祖様から受け継いだ田畑をコルホーズするのは抵抗はあるが、ビジネスとして効率化するためには仕方がない、と割り切れなければたちいかないのです。

研修生とは言え、若い人がいたこと。農業研修生がいて、地の人と一緒になって改革に乗り出したのが大きい。それでもって、

ネット民を味方につけたこと。研修生ありきの話になりますが、野菜のオンライン販売、出荷不適合の「くず野菜」をキャラクター化して人気を博したことが、サクセス・ストーリーを加速させたことは間違いありません。これはもうその通りでして、様々な自治体が、やれゆるキャラだ、萌えだといろんな取り組みをしていますが、簡単にポピュラリティを得られるものではないのです。

資金調達力を持っていたこと。これが一番大変なことと思われますが、主人公がそもそもこの分野に精通しているので無問題。最悪の事態に陥ったとしても、ある程度リカバーできるだけの自己資金を持っているのも大事です。

そう考えると作中のような成功を収めるのは容易ではありませんが、だからと言って何もしなければ状況は変わらないわけで、日本の農業を変えるためには行動を起こさないといけないんでしょうね。



[PR]



by non-grata | 2014-04-15 17:04 | 読書

(B14)ドラマはどうなる!?|『弱くても勝てます』感想(★★★★★)

d0252390_18513018.jpg明日からドラマの放映が始まるんですね。そうとは知らずに最近、文庫版を購入しました。平成17年夏に東東京予選ベスト16まで勝ち進んだ進学校の野球部に関するノンフィクションです。副題通り「開成高校野球部のセオリー」です。

ノンフィクション・ライターの高橋秀美が開成高校野球部を追っかけていく、という内容で、野球同様9回=9章の章立てになっております。その全ての章で高校野球の「常識」とかけ離れた開成高校野球部のセオリーが紹介される趣向です。そんなわけで9回もそれをやられるとさすがに飽きてきますが、それは固定観念に囚われているからだと、はたと気づかされます。

知らず知らずのうちに9章ある=9人いる=打線が組める、ならば第1章はとりあえず出塁して、第2章で進めて、中盤から一気に盛り上げて……などとメリハリを期待してしまいますが、開成高校野球部のセオリーではそれこそ「ナンセンス」なのです。強い打球を打てる選手を1番からずらっと並べ、打「線」ではなく、「輪」として考える。8番9番の次が1番2番。抑えられると思った8番9番に出塁されてショックのところを1番2番が畳みかけて敵の戦意を挫くわけです。そう考えると、本書も一番面白かったのは最初の2章で、途中からだんだん飽きが来る……のだけど、終章で、「え、どういうこと?(何があかんかったんや?)」と思って第1章に戻ると、そこでガツンとやられる趣向です。いやほんと。

「野球は守備から」と言いますが、点取らなければ勝てないし、1試合にアウトは27個しか取れない=野手平均で3個のアウトしか取れないことを考えると、少ない練習時間を削って守備練習をしても仕方がない、というのはなかなか考えさせられます。広島カープはもう少し打つべき。

元巨人の桑田真澄が解説を書いていて、これがまた面白かった。スコアボードにEの表記があるのは、エラーするのは仕方がないという証。エラーを繰り返さないように考えることが大事、という話は、会社の朝礼に使えそうです。

よくよく考えると、開成高校野球部の戦い方は第二次世界大戦のドイツ軍ですよね。新戦術で敵に心理的なダメージを与え、主導権を取り続け、立ち直る暇を与えない電撃戦。しかしソ連軍に通用しなかったように、選手層という縦深を持つ本当の強豪校は、容易には倒せないんじゃないでしょうか。が、バルバロッサ作戦でドイツ軍が勝利するかもしれないというくらい、開成高校野球部の甲子園出場にはロマンがあります。

ドラマの公式サイトには原作にはいなかった女子マネージャーらしき姿があって、ドラッガーを持ち出さないかと不安と期待で一杯です。



[PR]



by non-grata | 2014-04-11 19:13 | 読書

(B13)『LIFE!』の結末に涙する|『レッドスーツ』感想(★★★★★)

d0252390_1544431.jpg日経新聞の書評で評価の高かった新☆ハヤカワ・SF・シリーズの一冊。実のところ書評を読んでもピンとこなかったのだけど、なるほど、ネタバレになるから仕方がないね。

銀河連邦宇宙艦隊旗艦〈イントレピッド〉は、宇宙探索の航海中。旗艦でありながら最前線で酷使されるのは、〈ヤマト〉や〈エンタープライズ〉と同じ原理です。その〈イントレピッド〉の遠征が、やたら危険に満ちたものになるのも同じ。常に誰かが命を落とし、けれどもいつも遠征に参加する「主な登場人物」たちは必ず生還する。

そんなわけで、遠征のたびに欠員の出る〈イントレピッド〉は常に乗員補充の必要に迫られる。そんな中、新規配属された主人公たちがこの現象に疑問を抱き、解明に乗り出す──というのが大筋です。

前半をやや退屈気味に読んでしまった人は、作者の術中にはまります。私がそうでした。この異常現象の原因を突き止めてからは怒濤の展開で、ページを繰る手を止められないでしょう!星一つ。ここから先は少々ネタバレ。

「レッドスーツ」とは、スタートレックのテレビ・シリーズ『宇宙大作戦』の保安員を指します。赤い服を着た無個性なモブ男(しかもやられ役)のことで、ファンが生み出したスラングなんだそうです。ドラマを盛り上げるためにはしゃーない、死んでくれ、てなもんです。『宇宙戦艦ヤマト』における第三艦橋勤務みたいな位置づけですな。『2199』は健在でしたが。

視聴者は、「主な登場人物」に感情移入してドラマを見るでしょうから、レッドスーツの一人や二人が生きようが死のうが気にもかけないわけです。しかしもちろんレッドスーツにも劇中では描かれない人生があるのです。それが予想外の方法で明らかになります。星一つ

で、思わずにはいられないわけです。果たして自分はレッドスーツなのか、それとも「主な登場人物」に入れるのかと。

客観的にはいろんな見方ができるでしょうか、自分の人生なんだから、本当は主観的に考えるべきです。テレビ・ドラマでは描かれないかもしれないが、レッドスーツがちゃんと仕事をしているからこそ、〈イントレピッド〉だって航海を続けられているんだ──職業に貴賎なし、というのとも違うな。大事なものは身近にあるよ、ということを教えられる点が、映画『LIFE!』に通じるのです。

感心させられ、笑わされ、最後の奇跡に泣かされと、忙しい一冊でした。星三つ



[PR]



by non-grata | 2014-04-09 09:28 | 読書

(M11)何という『キルラキル』|『アナと雪の女王』感想(★★★★★)

d0252390_12534749.jpgできれば「3D・吹き替え版」を観たかったけれど、既に3D上映は終了していたようで、やむなく「2D・字幕版」を鑑賞。評判の良い吹き替え版でも良かったのだけれど、鑑賞可能な時間帯には字幕版しかかかっていなかったのです。

で、『キルラキル』ですよ。途中で「ま、いいか……」と視聴をやめていったテレビアニメが多かった中で、本作は最後まで「何だかわからないけれど」楽しむことができました。その、「何だかわからないけれど」が『キルラキル』の一つのテーマなので、制作側の術中に見事にはまったわけです。が、「何だからわからないけれど」とにかく面白かった、というのは間違いで、よくよく考えるとちゃんと自分が面白く感じるツボが押されていることがわかります。

いささか下卑た表現になりますが(おっさんだからな)、どこをどう責めれば気持ちいいかわかっている相手から責められている感があって、安心して身を委ねていられる感じ。なんですが、新しい自分の性癖を開発してくれることはありません。例えば『宇宙戦艦ヤマト』、例えば『新世紀エヴァンゲリオン』、最近なら『魔法少女まどか☆マギカ』など、「ハマるとやばいけど抗えない感(くやしい…!でも…感じちゃう!)まではない。価値観を揺さぶれるほどではなかったわけですが、そりゃあこれまでいろんな映画を観て、本を読んできたわけだから。そうそうクリムゾンしていたら身が持ちません。

それと同じことが『アナと雪の女王』にも言えて、気持ち良く楽しませてもらったけれど、それ以上でもそれ以下でもなかったわけです。いや、文句のつけどころもないんですけどね。

ついでなので、本作と『キルラキル』のその他の相似点。

姉妹の対決。直情径行型の妹と思慮深い姉。その思慮深さが仇となったわけですが。『アナ〜』では、そんな姉妹の性格の違い──育てられ方の違いが歌で表現されていたのが素晴らしい。

エレクトラ・コンプレックス。『キルラキル』はずばりでしたが、『アナ〜』では、両親同様、良き統治者にならねばという呪縛に姉が囚われました。それを乗り越えてのハッピー・エンドです。

性差ないやん。「エレクトラ」と書いたものの、別に男の子が主人公でも問題ありません。その場合はエディプス・コンプレックス。あ、『キルラキル』は「服=ファッション」がキーワードなので女の子のほうがいいか(ジェンダー的にNGな発言ですね)。

裸が一番。服を着る=自分自身に、あるいは他人に対して勝手にフィルタリングしてしまうとろくなことにはならず、マッパ=腹を割って話し合うのが一番やね、というお話。『キルラキル』はそれをそのまんまやってしまったわけですが、『アナ〜』では「真実の愛とは何ぞや」という問いかけがなされています。見せ方は違うけれど言っていることは一緒。

音楽が良かった。『アナ〜』は言わずもがな。『キルラキル』も直球のオープニングと変化球のエンディングの配球が絶妙。燃えるシーンで前期オープニングを流すとか(『ガンダムビルドファイターズ』もそうでしたね)、ミュージカル的な演出ですよね。



[PR]



by non-grata | 2014-04-02 13:45 | 映画

今年は何でも五つ星
by non-grata
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4 5
6 7 8 9 10 11 12
13 14 15 16 17 18 19
20 21 22 23 24 25 26
27 28 29 30

フォロー中のブログ

最新のトラックバック

検索

ブログパーツ

最新の記事

外部リンク

ファン

ブログジャンル

画像一覧