おっさんノングラータ

カテゴリ:読書( 119 )




(B31)安定の面白時代小説|『城を嚙ませた男』感想

DN-01のために購入したもの一覧:
  純正マフラー……SP忠男のほうが燃費が良くなるらしいですが、うるさいのがネック。
  大型風防……高速道路走行には欠かせない。考えてみたらこれまで四半世紀のバイクライフの大半がネイキッドだったので、気にならないっちゃー気にならないんですが。
  USB電源供給ポート……スマホ充電用に。
  グリップヒーター……初の試み。冬でも乗る気になるように。
  PDA取り付けマウント……最近全く使っていないPSPをナビとして復活させる予定。Bluetoothって使えたっけ。
  キジマ製リアキャリア……タンデムシートにバックレストがついていましたが、キャリアのほうが使い勝手が良さそうと判断。手持ちのGIVIケースが載るなら言うことなしなんですが。ヤフオクにて、新品が定価の3分の1の価格で売られていました。




d0252390_8463599.jpg戦国時代を生きたのは信長や秀吉、家康だけじゃない、傍流の人々にもドラマがあった。『国を蹴った男』もそうだったが、伊東潤の歴史小説は普通の人々、あるいは主流になれなかった人々に焦点を当てており、誰でも人生の中で15分間はスポットライトを浴びるのだということを思い出させてくれる。本作は秀吉の天下統一、その没後に家康が台頭するという大きな時代の動きの中で、歴史を変えることはなかったが、自分の戦いを全うした人々を描いている。

「見えすぎた物見」は、下野の佐野氏の話。上杉と北条に挟まれ、全方位外交で何とか国の存続を図ってきた。全方位外交と言っても、やり方を一つ間違えば「表裏がある」と斬り捨てられる時代。常に最新の情報を手に入れ、正しく分析できなければいけない。物見がどんなに優れていて先を見通しても、そこで得た情報を正しく理解して活用しなければ意味はない。

「鯨のくる城」。『巨鯨の海』でも太地かに伊豆に行く話があったと思うが、こちらはその伊豆の話。そういうことかと思ったら、やっぱりそういう話。「刀は鈍いように見せておかねばならぬ。いざという時にだけ、その切れ味を見せればよい」という、後の江雪の話と同じようなエピソード。鯨魚(いさな)取りの大将が格好いい。

「城を嚙ませた男」。真田昌幸の話。北条と家康に挟まれ、難しい外交の舵取りを迫られるが、奸計をもって窮地を乗り切る。『華、散りゆけど』の印象とはずいぶん違う。「謀を打つ時には、情けは禁物。天下を目指すなら、敵味方すべてを踏み石としても、我を通しなされよ」昌幸の謀略を完全なものとするため、自分の身を差し出した名胡桃城主の言葉が重い。

「江雪左文字」。少年時代の回想は、あの話かと思ったら、やっぱりあれだった。

表示が劇画タッチのイラストと英文で驚かされるが、オーソドックスな歴史小説の中にも新しさを持った──有名な人物なら一人で長編を賄えるが、傍流の人々だけに短編にならざるを得ない。しかしその短編を並べることによって、時代の流れを語るという──本作のイメージに実にマッチしている。



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by non-grata | 2014-07-09 10:57 | 読書

(B30)捕鯨問題を別角度から|『捕食者なき世界』感想

DN-01の購入決定&納車は日曜日に決まりました。ノーマル・マフラーはヤフオクで落札、大型の風防は国内のショップでも扱われていましたが、ちょっと高い。ebayで落札してイタリアからの輸送待ちです。パニアは取り付けたかったけれど、GIVIのアームが合わないと言われたので断念。ネットで調べた限りでは、トップは取り付け簡単だけれどサイドは困難、と書かれていたんですが。しゃーない。

あとはグリップ・ヒーターの装着と、USBのタップを追加しよう。しばらく使っていなかった、PSPのナビを復活させようかとも思っています。




d0252390_10222269.jpg子どもの頃に教えられたのは、食物連鎖の底辺が一番大事で、ここがしっかりしていればその上に乗っかる動物も何とかなる、という話。現実はそんなに簡単な話ではなかった。「栄養」の流れは単純な一本道ではなく、カスケード接続されていたのだ。

非常によくわかる話が本書で語られるラッコのエピソード。アリューシャンの海には「海の熱帯雨林」と呼ばれるケルプが繁茂していて、これが多くの生物に快適な環境を提供している。ケルプの大敵はウニであり、ウニが大増殖するとケルプが冒され、ケルプに依存して生きている生物も失われる。ウニの数を適度に抑制しているのがラッコである。ラッコがウニを食べ、ケルプを守ることによって多くの生物が豊かに生きられているというわけ。

ところが、毛皮目当ての密猟者によってラッコが乱獲された時期があった。どうなるか? ウニが増え、ケルプが枯れ、アリューシャンは貧しい海になってしまった。食物連鎖が単純なピラミッド構造なら、最上位の捕食者がいなくなっても土台は揺るがないはずなのに、ラッコがいなくなった途端に生態系が崩壊してしまうのだ。

1970年代に実地調査が行われ、ラッコがいるアムチトカ島ではケルプの森が守られ、当然豊かな生態系が維持され、密猟者によってラッコが根絶やしにされた島の周辺は、巨大なウニが敷き詰められたようになっていた。

しかし、話はこれで終わらない。1990年代に入って、シャチがラッコを襲い始めることが確認されたのだ。本書によると、ラッコ1匹は4万〜6万カロリー。ラッコだけ食べるとしたら、シャチは一日に4-5匹のラッコが必要になる。調査によると、過去6年間に4万匹のラッコが姿を消したそうだが、この計算なら3.7頭のシャチがいればその説明がつくのである。何てこったい!!

では、何故シャチがラッコを襲うようになったのか? 鯨が数を減らしたのがその原因ではないかと推測されている。人間が鯨を捕る> シャチが鯨を食えないからラッコを襲う> ラッコが減るからウニが増える> ウニが増えるからケルプ潰滅> 生態系破壊、というシーケンスが発生する。「捕食者なき世界」がいかにバランスの悪いことか。

地球において捕食者の頂点に君臨しているのはヒトである。そのヒトが、長い歴史の中で次の捕食者を絶滅させることにより生物の多様性は失われてきた。「栄養カスケード」はバランスが肝心。地球全体がラッコのいないケルプの森になる前に、最強の捕食者の責任として、ヒトは行動を起こさなくてはならないのだろう。そのためのいささかなラディカルな、それでいてロマンティックな提案で、本書は締めくくられている。



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by non-grata | 2014-07-08 11:22 | 読書

(B29)行動経済学(笑)|『エウレカの確率』感想

DN-01ですが、現物を見て欲しくなったりなくなったりを繰り返しております。また、実際に乗っておられる(た)方のレビューも参考になりますね。最大の短所は、「クルーザーなのに積載能力皆無とはこれいかに」。この問題の解消方法はこちら。

HONDA DN-01 LONG-TERM UPDATE: PART 1

トップ/サイドにキャリアを取り付け、風防を大型のものに交換する。この風防はデザイン的に好みではないんですが、ebayで物色すると他にも大型のスクリーンがありました。パニアケースのマウントは、日本では扱いがないらしく、これも海外から調達しなければなりません。ついでに、SP忠男のマフラーは燃費が良くなるらしいのですが、純正に比べるとやっぱりうるさい。これも交換希望です。物入りだなあ。

上の続きには辛辣なレビューが掲載されていました。

HONDA DN-01 LONG-TERM UPDATE: PART 2

とにかく高いですわな。同じ値段なら他のバイク買うわー、てなもんです。中古も安くはなくて、あとちょっと出せばCTX700Nのフルオプションを新車で買えるので、大いに悩むところです。

悩みつつも、KMT DUKE 125最近恒例の週末早朝ランをしてきました。国道310号〜県道30号〜国道166号。先週はMULTI STRADAでR309〜当麻寺〜R165を走ったばかりですが。

久しぶりにNarrative Clipを起動。胸元に装着して走ってみます。
d0252390_9225650.jpg

たまたま撮影されていた玄関の姿見。怪しい写真。
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信号待ち。視線と似たような画角になりますね。今回は走りっぱなしだったので、延々とこんな画像が撮影されました。
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R310を走行中。
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奈良県道30号線。ツーリングへ向かっているとおぼしき集団と遭遇。

バイクというのは主観的な視点が大事な乗り物のように思いまして、つまりは上の写真のような見え方、これがしっくりくるかこないかがその車種との相性になると思うわけです。で、DN-01に跨った時の主観的な視点がしっくり来なくてどうにもいけない。客観的な視点、つまり端からの見え方は悪くないはず(他人が乗るDN-01が格好良く見えるんだから、自分が乗ってもそれなりに見えるはず)なんですが、バイクに乗る時はそんなことは意識しないのです。バイクに乗った自分を格好いいと妄想しているところ、ガラスや正面の車体に映った自分の姿を見て「何やこれ……」と思うことがありますが、その逆のような感じ。




d0252390_9413494.jpg犯罪捜査にプロファイリングが導入されて、『羊たちの沈黙』以降、ミステリの一要素となっている。プロファイルを使えば犯人像をある程度、掴むことができる、あるいは従来の操作方法では浮かび上がってこなかった真相に迫れるとあって、追う側と追われる側の頭脳戦が楽しめるのだ。

けれど、プロファイルがネタとして陳腐化してきたのも事実。そこで、というわけではないだろうが、本作では「行動経済学」を用いて犯行の動機から犯人像に迫ろうとしている。

途中までは面白かったし、「行動経済学入門」的な話も興味深かった。しかし捜査が進展するにつれ、推理の在り方が行動経済学関係なく、普通に警察が推理して裏を取りそうなものではないかと思えたり(読者にそう思わせないよう、本作に登場する警察は「冤罪上等」の昭和の香りをさせていてるが)、容疑者に捜査状況をぺらぺら喋る登場人物にリアリティを感じなかったり。

本作と同じく日経新聞書評でおすすめされていた『星になるには早すぎる』が似たような変化球ミステリで面白かったので期待したのだが、少し残念。



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by non-grata | 2014-07-07 12:01 | 読書

(B28)よくわかる真田幸村|『華、散りゆけど』感想

2014年も早折り返しです。前半最後の6月は、台湾で食中りに遭い、1週間ほど悶絶しておりました。台所をネズミが這っているようなちまき屋が悪かったのか、ホテルの朝食で生野菜を食べたのがいけなかったのか。これまでそんなことはなかったのですが、単に加齢とともに免疫力が低下しているだけかもしれません。

ブログを放置している間にも本を読んだり映画を観に行ったりはしておりました。

d0252390_1563186.jpg仕事で「大坂夏の陣」を調べる必要があって、雰囲気を掴むのに歴史小説を読んでおこうと、書店でたまたま見つけた一冊。「真田幸村連戦記」と副題にある通り、「冬の陣」「夏の陣」を真田幸村がいかに戦ったかが描かれています。ただ、戦闘描写は全体の半分以下、一番興味があった夏の陣は冬の陣よりボリュームが抑えられていたのが残念。蟄居していた九度山を出て大坂城へ入り、真田丸を構築するあたりが一番盛り上がります。

★軍事に優れた父親と、政治に秀でた兄を持つ幸村ですが、大坂城における軍評定での描かれ方から、なかなかディプロマティックな才能も持っていたようです。しかしはるかに政治力を持つ家康に叶おう筈もなく。戦術的勝利では戦略的劣勢を挽回できないというやつですね。

★真田丸築城の件では、実に魅力的な「大将」に描かれています。岸和田のやんちゃくれも思わず惚れてしまう男っぷり!

★幸村の最期には諸説あるそうですが、『大坂の陣と真田戦記』によると、史実では松平忠直の家臣、西尾仁左衛門との一騎打ちで倒されたことになっています。本書では『細川家記』に近い扱いで、疲れ果てて休んでいるところに敵と出くわして……ということになっていますが、これはこれで悪くはない終わり方。

★幸村は家康本陣に突入し、大狸を討ち取りますが、それが本物なのか影武者なのかわからない──どうだっていい、という終わらせ方に、徳川方、豊臣方双方の厭戦気分が表されています。

★伊達と因縁浅からぬことになるのであれば、天王寺の戦いはやっはりもう少しボリュームが欲しかった!

さくさく読めるので、大坂の陣の概要を掴んでおきたい人にお勧めです。



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by non-grata | 2014-07-02 15:31 | 読書

(B26-27)安定のトラブル・シューティング|『私と月につきあって』『魔法使いとランデヴー』感想

 思ったより早く米AmazonからDVDが届きました。送料込みで5,000円くらいか。リージョン・コードは違いますが、パソコンなり、ファームウェアいじったパイオニアのDVDプレイヤーなりで再生できるので、特典不要なら北米版のほうが断然お得ですね。

 クレジットは2008年で、アニメ化されたのは小説が出版された10年後くらいか。今の目で見ると、作画が微妙に残念だったり、CGIの解像度(ディテール)が不足しているなど、なかなか微笑ましく感じられますが、毎週放映されていたら楽しみに見るレベルじゃないでしょうか。まだ2話までしか見ていませんが。

d0252390_141029100.jpg 第3巻ではフランス主導ながら、ついに月まで行ってしまいます。第4巻は短編集で、最後ははやぶさ(作中では「はちどり」)が登場します。ミッション→訓練→ミッション中のトラブル→クリア→やれやれ→びっくりするようなトラブル→びっくりするような方法でクリア、という、安心のロケットガール展開。

 クレメンタインの調査では、月面高緯度地方に永久氷河があるという可能性が示唆され(1994年)、本作が書かれた時点では(1999年)そんな夢があったわけですが、かぐやなどの調査でその可能性は否定されております(あとがきより)。となると、作中に登場する驚きのトラブル・シューティングは実現不能になってしまいますが、月面基地ができるようなら応用できそうなアイディアです。

 第4巻に収められている短中編はどれも軽妙洒脱で面白い。はちどり回収話にはスペーステザーが登場するものの、あまりにスケールが大きすぎて頭の中でうまくビジュアル化できなかったので、テザー推進理論の解説込みで映像化して欲しい。今ならフルCGアニメで全編リメイクとかどうですかね?

 作中の科学考証が適切かどうかわからないレベルの読書人なので、宇宙開発の物語は科学的でもあり呪術的でもあります。その両方が一緒くたになった『ロケットガール』を読んでいると、途中、リアルなんだかうまく騙されているのか不思議な気持ちにさせられますが、読後は幸せな気分になって、「最後は精霊が何とかしてくれるから」と、現実の宇宙開発も全面的に応援したくなります。



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by non-grata | 2014-05-22 14:43 | 読書

(B24-25)『リビジョン』『リアクト』感想

d0252390_10431235.jpg 何なんでしょうかこの、『劇場版 魔法少女まどかマギカ[新編]叛逆の物語』を観た後のような印象は。『リビジョン』の面白さが『リライト』頼みになっていて、『リアクト』がさらに『リビジョン』頼みになっているのが、どうにも残念。

 シリーズもの、続きものはそういうもんよ、という割り切りができればいいのですが、それができないくらい前作が好きすぎる、ということもありまして。前作ありきな続編を見せられると、前作も「実は続編ありきでしてね。実はこの設定は後でこう生きてくるんですわ」と後出しで教えられて、何とももにょっとした気持ちになるわけです。法条遥が最初から壮大な構想を持って『リライト』を書いたのかどうかは知りませんが。

 続編は、前編の後日談という時間の流れになるのが一般的ですが、タイムリープものは後編であっても前編の過去に遡れてしまう。そこで話を変えられたり、あるいは前編をライブで見て素直に感動したエピソードの裏には実は……という後づけの種明かしがされると、普通にクソみたいな続編を見せられるよりもダメージが大きくなるわけです。

 タイムリープ(ループ)ものの続編でうまくいった例では、『劇場版『STEINS;GATE』があげられるでしょうか。後日談としても機能しており、前編で説明不足だったところを補ってもいて。その他の派生作品は知らないですが。

 『リビジョン』『リアクト』に関しては、テーマを本質的に理解できていないところもあります。法条遥のファンが社内にいたように思うので、そのうち解説を請おう。




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by non-grata | 2014-05-21 11:06 | 読書

(B23)救援ミッションは熱い|『天使は結果オーライ』感想

アニメ『ロケット・ガール』のレビューを見ていると賛否両論あって、どちらかと言えば否定派が多い、と言うよりは否定派の声が大きくて、なかなか興味深いものがあります。人命軽視に受け取られる演出が多く不愉快極まりない、的な意見が目立ちますが、これは見てみないとわかりません。

ただ、こうした倫理観は描かれた時代の影響を大きく受けるもので、2003年のコロンビア号事故を分水嶺として、描かれ方、受け止め方が変化すると思われます。発射時に耐熱システムが損傷したことがわかりつつ、NASAが適切な対応を取らなかったことが悲惨な結果につながったことが明らかな今なら(もちろん、何もできなかった可能性もあるわけですが)、作中で管制側に安全や人命を無視するような発言や行動はさせにくいでしょう。2003年の事件を知る者が、それ以前につくられた無邪気な宇宙開発物語を読むなり見るなりすると、なるほど腹立たしく感じることもわからないでもない。

まあ倫理観云々を言い始めると、年端もいかない少年少女に世界の運命を託すのが日本のアニメや漫画やラノベのお家芸なので、今さらということになってしまいます。

そんなことより米AmazonからDVDの到着はまだか!!

d0252390_12144340.jpg1巻はたいがい破天荒でしたが、2巻はそれに輪をかけた話です。

大気圏突入でトラブル→軌道がそれて元母校の近くに不時着→生物部の才女をスカウト→MS(ミッション・スペシャリスト)誕生→宇宙飛行訓練→初飛行でスペースシャトルとランデブー&オルフェウス(冥王星探査機)の修理……と、またも短期間のうちに話はめまぐるしく展開します。

ジャパニメーション好きのスペースシャトル搭乗員がスキンタイト宇宙服のJKを見て「エヴァみたい」とつぶやくシーンがありまして、作中の相方同様、エヴァ・ガードナーのことかと思いきや、プラグスーツを着た『新世紀エヴァンゲリオン』の綾波なりアスカなりのことでしたか。本作が書かれたのはそういう時代でした。

前作同様に最後まで面白くは読めたものの、裏表紙のあらすじに書かれている「難関」が伏線となって最後の障害回避になるかと思えばその逆で、何故めでたしめでたしになったのか、ファンといえどなかなか擁護ができない結末であります。毎度人智を超えた力が働くのはよろしいとしても、精霊頼みすぎるのもいかがなものですかね。まさに「結果オーライ」!

いよいよ次の3巻で完結。何だかんだで「小さくて軽いのは正義」(解説より)の物語とお別れするのは残念ですが、その前に『リライト』から数カ月後の物語となる『リビジョン』を読むのだ。




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by non-grata | 2014-05-16 13:49 | 読書

(B22)野球監督に求められるのは作戦術|『そら、そうよ ~勝つ理由、負ける理由 』感想

昨日の試合でもバットに当たる気せーへん、というレベルでエルドレッドの急速冷凍が気になりますが、ここらで休養&ロサリオ一軍再昇格とかどうなんですかね。キラは昨夜の場外ホームランで眠りから覚めたと思いたい。

d0252390_15224112.jpg「どんでん」こと岡田彰布の監督論。書店で少し立ち読みしたら意外に面白かったので購入決定。割とぶっちゃけた内容になっていて、例えば144試合のペナント・レースのうち、監督の技量で勝利できるのは3〜4試合、よくて5試合とのこと。じゃあ監督はどこでチームを勝利に導くねん、と言えば、シーズンが始まるまでにその仕事は終わっている、というわけです。そのチームに欠けているものが何かを分析し、プレシーズンでそこを補って勝利するための方程式を用意するんですな。

実例として自らの「JFK」をあげ、抑えがしっかりしているから、7回の時点で1-2点リードしているから勝てる。そこから逆算したチームづくりを行った、と述懐しています。また自分がDeNAの監督に就任したら、チーム防御率4.50に対して1試合当たりの得点は4.38なので、どうすれば5点取れるのかを考える、その方法を導き出せる引き出しの多さが監督の手腕であると書いてあります。なるほど。チーム防御率を4.00にしたほうが楽そうなんですが、そういうものでもないんですね。

その、減点主義でなく加点主義なところは野村監督(ノムケンでなくノムさんのほう)に通じるものがありますが、ノムさんが一軍監督、岡田が二軍監督時代のちょっとした摩擦についても暴露しております。面白い。星野監督についても、コーチ、選手を大量に入れ替えるのはいいけれど、それは劇薬に過ぎない=短期政権しか担えないとちくり。中途半端な選手の中途半端なトレードは中途半端な結果にしかならない、じゃあ誰が何のためにするのかと言えば、フロントが仕事してまっせ、というポーズのためにやるのだとか、言いたい放題であります。

傍目にもひどいと思わせる解任劇があったので、どうしてもオリックスについては辛辣な物言いになっております。しゃーない。

監督は中〜長期のビジョンでチームづくりをしなければならず、そのためのドラフト、トレードをしなければならない、という話に説得力があります。実際、岡田時代の阪神のドラフトはうまくいっているようで、鳥谷や上本など、岡田のセレクトは間違っていなかったんや! と思わせます。そのチームづくりが球団の「伝統」になれば、自然と勝てるチームになっていく、というわけです。この点について著者は、巨人、阪神に黄色信号が点いたと警告。

シーズンに入るまでのチームづくりは作戦。試合における采配は戦術ということになるでしょうか。作戦術が下士官に浸透していれば、それは勝ち方を知っているという意味であり、第二次大戦前半のドイツ軍のように強い組織になるわけです。フロントの仕事はロジスティクスに当たりますか。「二軍戦でT-岡田がバックスクリーンにホームランを打ったから一軍で使え」というオリックスのフロントは、「新型戦車が完成するまでツィタデレ作戦延期な」というヒトラーみたいなもんでしょうか(※諸説あり)。現場のことは現場に任せんと(アカン)。

野球に詳しい人なら「常識」と思われることが多いかもしれませんが、読めばシーズン通してのプロ野球観戦が面白くなるに違いない一冊です。




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by non-grata | 2014-05-15 15:47 | 読書

(B21)『女子高生、リフトオフ』感想

日経新聞を読んでいたら今年は宇宙旅行元年だそうで、何でも2014年後半には民間宇宙旅行が始まる予定です(2500万円だかで一瞬の無重力状態と「宇宙から見た地球」を楽しめる)。個人的にも、ごくごく近いところで宇宙葬の話が持ち上がっておりまして、もっともバルーン散骨などではなく、ロケットで飛ばすタイプの本格的なもの。そういうことも影響してか、書店で「宇宙」がつく本を見つけると、とりあえず食指が動いてしまいます。

そんなわけで、昔から気になってはいたけれど、何となく手を出しづらかった『ロケットガール』が、ハヤカワ文庫から再版されたこともあって、買って一気読みしました。いやあ面白かった。

d0252390_1541086.jpgただし、ストーリーは破天荒。行方不明になった父親を捜しに女子高生が単身、ソロモン諸島へやって来て、宇宙飛行士にスカウトされる!! しかも4カ月の訓練で有人飛行に挑戦してしまうというんですから!!

その根拠としては、「船長」が小柄なら宇宙船の小型化・軽量化ができる。体重が1kg軽くなれば、それを打ち上げるロケットは70kgもダウンサイズできるということです。体重70kgのおっさんの代わりに35kgの女子高生(そりゃ軽すぎだけど)を打ち上げるなら、2.5トンも節約できることになります。なるほど!

本作はジャンルとしてはライトノベルに属するからか、紋切り型の登場人物や台詞が多いこともあってすらすら読めるし、展開も派手で面白いのですが、美点は何と言っても25年前に書かれた近未来の宇宙開発が的外れでなかったということでしょう。著者の「解説」の受け売りになりますが、カプセル型宇宙船やハイブリッド・エンジンはリアルであり、本作も他の野尻SF作品同様に楽しめます。スキンタイト宇宙服もMITで開発中なのです!

様子見で1巻だけ買いましたが、これは続きも気になると、残る2巻も購入。ついでにAmazon.comでDVDボックスもオーダーしてしまいました。

「女子高生がwwwwwwたった4カ月の訓練でwwwwww宇宙飛行士とかwwwwwwテラワロス」的なコメントと最低の評価もついていましたが、日本の女子高生にできないことはないということを、彼は多分知らないのでしょう。もっともその神通力も、最近は効かなくなったように感じますが。本作が書かれた頃は無敵でしたな。



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by non-grata | 2014-05-13 15:31 | 読書

(B20)おっさんによるおっさんのためのコラム|『どちらとも言えません』感想

野球界の三大誤認識。

(1)カープが調子良いのは鯉のぼりの季節まで。よく言われるんですが嘘ですよね。こちらにデータが。過去10年間で勝ち越しがあったのは2年だけ、昨年も堂々の5位。10年間通算でも負け越し17ですぜ。ここのところスタート・ダッシュに成功した試しなし、が本当。今年は良い意味で認識を覆してくれそうです。

(2)阪神の死のロード。甲子園が駄目でも大阪ドームがあるじゃん。いやそれよりもホークスとかカープの移動距離が大変なことに。この9連戦も、移動日なしで広島〜東京〜広島ですもんね。

三つ目は何だ?

d0252390_10431696.jpg主に『Number』に掲載されているコラムをまとめた一冊で、そう言えば久しく『Number』読んでないなあ。「スポーツ大好き作家が勝手気ままに論じます」と紹介文にある通りの内容です。おっさんなので野球の話題が中心。サッカーも取り上げられていますが、おっさん目線なので安心して読めます。

「WBCでわかってしまったアメリカ式の行く末?」 うーむ、WBCで勝っただけでここまで話を大きくしちゃっていいんですかね。「アメリカ式」って、チャーチルが言うところの民主主義と同じ、「民主主義は最悪の政治形態らしい。ただし、これまでに試されたすべての形態を別にすればの話であるが」ではないですかね。

「広島新球場と日本人の芝生コンプレックス。」 知らなかったのですが、昔の日本の芝は冬になると枯れてしまったのですね。そこで人工芝。出た当時は見た目がきれいだったので、市民球場の芝生と比べて羨ましく思えたものですが、「コンクリートの上でプレイするみたいなもの」という選手の感想を聞いて以来、どんなにハゲハゲでも天然芝の市民球場を誇らしく感じたのでした。しかし人工芝の神宮球場でサッカーの試合をやろうとか(1989年)、正気の沙汰ではありません。

「スポーツチームはオーナーの道楽である。」 海外ではオーナーは王様、選手は傭兵、GMはバイヤーというたとえ。王様なのだからアクが強いのは当然。プロ野球で言えば、ナベツネくらいしかおりませんな、絶対権力者は。

「今こそ振り返る十二年前の恥ずかしい過去。」 サッカーのワールドカップ初出場を決めた日本ですが、メディアがサッカーを論じるスキルを持っていなかったため、とりあえずゴールを決めた岡野をもてはやしてしまった、という話。ワールドカップ・フィーバーでおかしくなった人々をばっさり斬っています。

スポーツは観る者に感動を与えてくれる、といった言い回しもありますが、それよりはトップ・アスリートは語られてこそ価値がある、ネタを提供してくれてナンボ、という著者の意見に大いに同意します。



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by non-grata | 2014-05-09 11:32 | 読書

今年は何でも五つ星
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