おっさんノングラータ

カテゴリ:映画( 63 )




世代で評価が分かれる|映画『キャプテンハーロック』

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例によってネタバレ上等でいろいろ書いております。未見の方はご注意。

5人で劇場に行き、そのうち4人はライブでテレビ・アニメ『宇宙海賊キャプテンハーロック』を見た世代、残る1人はハーロック初体験。ただし福井晴敏のファン。見終わった感想ははっきり別れて、4人はコメントに困り、1人は大満足でした。

コメントに困った4人は、ハーロックが主人公かと思ったら、ヤマが主役だったことに困惑。1人は最初からヤマが主人公だと思ったらしく、違和感なくお話を楽しめた模様です。

ハーロックの視点で捉えると、物語はかなりいびつです。「そのくらい許容範囲じゃん」という行為を許せずハーロックが軍に反旗を翻し、しかも絶体絶命に追い詰められたからと、その結果どうなるかもわからないのに地球を暗黒物質で包んでしまう。ダーク・マターに蝕まれた大地は回復の見込みがない。だったらと、宇宙の要所に時限振動弾100個を設置してそれを同時に爆破、宇宙全体をやり直そうと画策するわけです。それで「俺の旗の下に集え」「自由を求めよ」って言われても、ねぇ。

けれどヤマの視点になれば、最後はハーロック自身が自らの呪縛から解放され、真の自由を手に入れる、という話と理解できます。そのヤマ自身も、「CAUTION」シールで封印されているバルブを捻って温室を爆発させてしまい、兄と幼馴染みに瀕死の重傷を負わせてしまうという過去を背負っています。時々その過去に振り回されて行動が一貫しないんですが、何故か立入禁止のはずの地球に突入、大地に花が咲いているのを見て、地球の回復を確信することで、こちらも呪縛から解き放たれます。

「どうなるかわからないけど、地球を暗黒物質で覆っちゃうね。てへ☆」「駄目って書かれているけど、バルブ回しちゃうね。てへ☆」「むかついたから、生命維持装置のケーブル抜いちゃうね。てへ☆」と、おっちょこちょい3人衆の行動が、全宇宙を危機に陥れたように思えて仕方ありません。

どうも人類は、銀河系に散らばって暮らしているようですが、地球に対して強い執着を持つように描かれている。地球は聖地であり、ガイアを唯一神として崇めているわけです。それで地球が物語のキーワードになっているわけですが、異星で何世代も過ぎていれば地球に対する執着も薄れるでしょうし、「人類は衰退に向かっていた」とナレーションで言われても、映像に映し出される人々がそれほど絶望しているふうでもなし、ピンときません。

というのが、映画の後の反省会で出た否定派の意見。肯定派の目線は全然別のところに向けられていました。

彼女はポスト・バブル世代で就職氷河期を体験しています。バブル世代に対しては、お前らが日本を駄目にした、という強い憤りを覚えているそうで、本作で言えばハーロック(とその乗組員)はバブル世代になります。地球を駄目にした張本人=バブル崩壊で日本を駄目にした世代が、自分の責任を曖昧にしたまま一からやり直すなんてちゃんちゃらおかしい。駄目な地球=日本がかつては美しかったのだという疑似映像を見せているのはその上の世代=元老員(だっけ?)。これも老害。駄目だ駄目だと言われている地球=日本にも、回復の萌芽はちゃんとある、ということに気づくのがヤマ=ポスト・バブル世代、というわけです。そしてポスト・バブル世代はバブル世代のツケを払わされる運命にあります。

ヤマがハーロックを襲名することで、アルカディア号は「概念」へと昇華します。多分、そういうことですよね。これからは俺たちの世代が、地球=日本が持つ生命力を老害どもから守っていくのだと。概念なんだから、それを実行するのがヤマだけだとは限らない、と。気づいた俺たち世代が地球=日本を良くしていくんだ、と。だからいちいち口出しするな、否定するな。どんと構えて見守っていろ(最後のハーロックのように)。

バブル世代、あるいはそれより前の世代が『キャプテンハーロック』を観てどうにも居心地が悪い思いをしたのは、そういうメッセージが含まれていたからかもしれません──ということは、世代的に権力側に立っている者に対する批判が描かれているわけだから、やっぱり反権力の象徴として「ハーロック」が正しく描かれているじゃないか! ということになりますね。



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by non-grata | 2013-09-09 16:29 | 映画

いろいろ雑|『二流小説家−シリアリスト−』感想

d0252390_8321322.jpgデイヴィッド・ゴードンの原作を読んだ時、これは映画化されるだろうなあと思ったら予想通り。それが邦画だったのは予想外だが、あのプロットなら日本にもってきてもそんなに違和感がないと思った。

が、観終わった後は「いろいろ残念でした」という印象しか出てこなかった。あの原作でどうしてこうなった?

監督は猪崎宣昭。以下、公式サイトのプロフィールを引用すると、
1948年8月5日生まれ。愛媛県出身。テレビドラマ「相棒 Season 3」(04~05)、「戦国自衛隊 関ヶ原の戦い」(06)、「遺留捜査」(11〜)、「刑事魂」(12)をはじめ数多くのテレビドラマを監督、特にサスペンス、ミステリー作品を多く監督したことから、火曜サスペンスのエースと呼ばれる。また、『金田一耕助の冒険』(79)、『積木くずし』(83)、『海へ See you』(88)、『傷だらけの勲章』(86)などの助監督を経て、1992年『ジェームス山の李蘭』を監督。本作は21年ぶりの映画監督作となる。

音楽も残念な感じで、川井憲次。同じく公式サイトのプロフィールは、
1957年4月23日生まれ。東京都出身。ギタリストとして活躍後、1986年に押井守監督作品『紅い眼鏡』の音楽を担当したことを機に作曲家に転身。その後は、実写映画、アニメーション、テレビなどさまざまな分野の音楽制作を担当する。『攻殻機動隊 GHOST IN THE SHELL』(95)をはじめとする押井監督作品を数多く手掛ける。主な映画は『リング』(98)シリーズ、『デスノート』シリーズ(06)、『GANTZ』シリーズ(11)など。

いや、脚本に4人も名を連ねていることに、最初に疑問を持つべきだったか。



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by non-grata | 2013-06-17 08:40 | 映画

合い言葉は「希望」|『宇宙戦艦ヤマト2199』第六章感想

d0252390_74835.jpgネタバレは避けようと思いつつ、つい見てしまった冒頭8分の宣伝映像。以来、6月15日の公開日がどれだけ待ち遠しかったか。

第六章も、TVシリーズをリスペクトしつつ、戦争映画のモチーフを詰め込んでその筋の「リアリティ」を高めるとともに、「2199」独自の要素もしっかり表現していて、実に楽しめた。最初の2話のクオリティが神がかっていたぶん、最後の1話の作画が相当残念なことになってはいたが、地球/イスカンダル/ガミラスが初めて融和したことで、それを奇異に見る乗員の心の揺らぎが表現されているんだ、と、飼い慣らされたファンとしては受け止めたい。

テレビ放映でおさらいをしつつ、劇場で最新話を観るという何とも贅沢な視聴形態だが、おかげで劇場公開時には気づかなかったことをテレビ放映時に気づかせられる。昨日はちょうど、ガミラス戦争開戦の秘密が明らかになった回だが、島パパが息子に託した言葉「希望」が、作中で何度も繰り返されている。沖田が、そしてデスラーまでもが、閉塞した現状を打開するためのキーワードに選んでいるのだ。TVシリーズが、ガミラス本星を破壊しておいて、とってつけたように古代に「愛」だの「平和」だの叫ばせておいて白けてしまったのに対し──にもかからわずそれ以後は、波動砲を大量破壊兵器として躊躇なく使い始めた矛盾──「2199」では「未来を今より良くする可能性がある」ということを、宇宙人を含めて皆が認めている。

敵にも味方にもそれぞれの正義があることを描いたのが冷戦時代につくられた『機動戦士ガンダム』であれば、安定していたはずの体制の崩壊に未曾有の危機という混沌の先に希望を見出そうとするのが『宇宙戦艦ヤマト2199』。コスモ・リバース・システムで時間を巻き戻して「なかったことにする」「別の出会いの可能性が生じる」オチだと暴れ出す原理主義者がいるかもしれないが、ここまで見事に艦を導いてくれた制作陣のこと、見事な結末を用意してくれるに違いない。

以下、気づいたこと。ネタバレ大いに含みます。

●サブタイトル「彼らは来た」は、もちろんパウル・カレルの著作から。元ネタの「彼ら」がノルマンディに上陸する連合軍(カレルにとって「敵」)であるのに対し、「2199」では双方を意味しているのが興味深い。ヤマトにとってドメルは最大の障害であり、ドメルにとってもまたヤマトは本星に対する最大の脅威なのだ。
●冒頭のドメル閲兵シーンは映画『バルジ大作戦』の少年兵がパンツァー・リートを歌うシーンを彷彿とさせる。
●ザルツ442部隊のモチーフは日系人部隊だよね……。
●三段空母、戦闘空母は新鋭艦かと思えば、旧式艦だった。ならば艦載機も同様。未熟なパイロットばかりだったので、隼36機程度でも凌げたのだと思いたい(それでも12機が未帰還)。
●何で空母1隻だけ先行していたのだろうと思ったら、あの戦闘機隊だけは物質転送機を使っていなかったから。最初に物質転送機=切り札を使って、その対策を打たれるのをドメルが嫌ったため。そしてたった4発のミサイルで空母が轟沈したのは、やはり旧式艦だったからだろう。
●護衛戦闘機を誘き出している間に別働隊が母艦を攻撃するというシチュエイションはミッドウェイ海戦そのもの。史実では、直掩の零戦が雷撃機を迎撃している間に急降下爆撃機で空母3隻を屠られたわけですが。
●新見君は死亡フラグが立ったと思ったんだけどなあ……気の強そうなポニーテールの代役が第一艦橋にいたし。
●第三艦橋は予想通り。
●ヒルデ・シュルツがまさかの再登場。花束抱えた少女が2回も映るのは何かのミス?
●藪、愛されてるな。
●まさかの女子会(回)は、希望をつなぐ話。男同士、体育会系の胡散臭い結びつきで描かれていた旧シリーズと比較して、何たる進歩(と、あえて書く)。



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by non-grata | 2013-06-17 08:28 | 映画

『Rise of the Guardians』感想

d0252390_14515746.jpg普段は「ドリームワークス作品とかwww」と3DCGI映画を軽んじて観ないのだけれど、飛行機の中、100分間で観られる作品が他にないなら話は別。で、意外に面白くて困ってしまうのだ。

何で日本未公開なんだろうと思ったら、登場人物に馴染みがなさ過ぎるからか。サンタクロースは知られていても、ジャック・フロストザントマンはマイナー。トゥース・フェアリーも日本にはいないし、イースター・バニーも身近な存在と言えない。バニーと言えば、今年はこんな事件がありました。

子どもたちの夢を守る(=ガーディアン)彼らだが、信じてもらえなければ存在できない。ブギーマン(これまた日本では馴染みがない)は子どもから夢を奪い、ガーディアンを亡き者にしようとする。けれども一人だけ、ガーディアンの中では新参者で、自分がどうしてガーディアンに選ばれたのか苦悶しているジャック・フロストを信じている子どもがいて、そこから反撃が始まるのだ。

勧善懲悪の予定調和、絵もきれいで言うことなし。サンタクロース(ノース)とジャック・フロストのやり取りは心打たれるものがある。

North: Who are you, Jack Frost? What is your center?
Jack Frost: My center?
North: If Man in Moon chose you to be a Guardian, you must have something very special inside.

この台詞を踏まえて、ラスト・シーンはグッとくる。



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by non-grata | 2013-06-07 15:07 | 映画

子育ては難しい|Parental Guidance

d0252390_748551.jpg子育ての経験がない者が語るなといわれるとそれまでだけれど、一番難しく、かつ大事なのは物事の善悪を判断する力を身につけさせることだと思う。まっとうな価値観を持たせる、とも言い換えられるか。そのためには親がまっとうな価値観を持っていなければならず、それが正しいという信念と確信で、責任をもって子供に教えるのだ。

アメリカという国も、民主的、資本的であれば国家の成熟度が上がるという価値観の下、異なる価値観を持つ国を子供と見なして体罰を与え、考え方を矯正した。それが朝鮮戦争あたりから信念が揺らぎ始め、ベトナム戦争に頃になると顕著となり、湾岸戦争の頃には罰することは罰するのだけれど、「いろんな価値観を尊重しなければ」と、子育ては放棄したようになった。

Parental Guidance』は、親と、その親の子育て感の対立をコメディ・タッチで描きつつ、個人にも国にも共通していえる、何かを教えるなら責任を持ちましょう、とのメッセージが読み取れる。

何でも機械が面倒見てくれる「スマート・ハウス」のプロトタイプが評価され、表彰式に呼ばれたサイモン夫妻(トム・エベレット・スコットとマリサ・トメイ)。久しぶりに夫婦の時間を楽しもうと、母方の両親に一週間、3人の子供の面倒を見ることを頼んだ。父方の両親は孫たちとよろしくやっている模様。こちらも負けてはいられないと、マイナー・リーグの実況の職を失ったばかりのビリー・クリスタルと(いつもの調子の)ベット・ミドラーは奮起する。

3人の孫は、上から順に思春期特有の悩み、吃音のため引っ込み思案、空想の友だちと離れられない、というステロタイプな問題を抱えており、両親は「何とかメソッド」で克服しようとしていた。祖父母も子供たちのやり方に従おうとしたが結果が出ず、自分たちの子育て感で孫に臨む。

その20世紀型のやり方も観ていてそんなに優れたものとは感じられないのだが、21世紀方子育てとのギャップが混乱と、笑いとを誘う。ただし、ネタバレになるが、決定的なところで決定打を与えられないビリー・クリスタルに少しだけ引っかかる。叩く者の覚悟のなさに、パックス・アメリカーナの完全なる終焉が感じられたり。

もっとも、夢を与えられれば、それに向かって物事を判断していくうちに価値観が育っていくと言えなくもない。映画の中では祖父が孫に与えることができたが、現実にはアメリカン・ドリームが死語になって久しく、せっかくの良いラスト・シーンなのに胸に迫るものがなかった。



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by non-grata | 2013-04-25 08:22 | 映画

助手に萌え死ね|劇場版『STEINS;GATE(シュタインズ・ゲート)』感想

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いやもう無茶苦茶面白かった。2クールあったアニメも面白かったけれど、その完成度を高めるという意味で、今回の劇場版があったように思います。テレビシリーズの伏線もきっちり回収してくれたし。そんなわけで、テレビシリーズを見ていない人は置いてけぼりですが、見た人は、劇場版を観られる環境にあるなら観るべき作品であります。

シュタゲといえばドクペが有名ですが、今回の飲み物は「よなよなエール」。持ち込み可能な劇場なら、是非ご一緒に。

観終わった後、『愛と死の間で』を思い出した。



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by non-grata | 2013-04-20 19:19 | 映画

原点回帰で新しく|『宇宙戦艦ヤマト2199』第五章「望郷の銀河間空間」感想

d0252390_11592057.jpgテレビ放映も始まったことだし、いつもより観客が多いかと思ったけれど、そんなこともなく。ネタバレが嫌か、あるいは、公開2週目から配布される森雪のポストカード目当ての人が多いのか。けれど、1週目に観た者でも、もう1回劇場の大画面で観ようかと思わせる内容でした。以下、ネタバレ注意。

第15話「帰還限界点」
いろいろあるけれど、ヤマト1艦がガミラス帝国に立ち向かうことで抑圧された人々が反乱の狼煙を上げるという件に落涙。松本ハーロック的な熱さあり、戦力の分散を強いられるという伏線あり。しかし、ドメルの妻が反政府組織に与しているのがもともとの設定だったとは。

ヤマトvsドメラーズの接近戦は熱いものがあります。その時の、沖田vsドメルのにらみ合いもたぎる!

第16話「未来への選択」
イスカンダルまで引っ張ると思っていたヤマト・クルーの反乱が、まさかのビーメラ4で発生。旧作でガミラスに反旗を翻したビーメラ星に、『2199』ではイスカンダルから使者が送られていたことが明らかになり、一つ伏線が回収されたと思ったら、ここで新たな伏線が現れる。

ヤマト艦内が一枚岩でないのと同様、ガミラス帝国も盤石とはいえない。その両者で同時に内乱が発生するのが面白い。

第17話「記憶の森から」
第18話「昏き光を越えて」
ゲートを使って航海日程を短縮したのと、ガミラス艦隊を後方に置き去りにした辻褄合わせに唸らされる。旧作で、「本国に艦隊がいないのは何で?」なんてツッコミがありましたが、これで論破できる!?

古代兄、真田、新見の関係が描かれたのが面白かったけれど、古代兄と新見がつき合ったってのは、真田に意識させるための新見の作戦だよね。彼女のハニー・トラップが役立たずなことは、第16話にて既に明らかにされているんたけれど。

若本があまりに若本でブリタニア王とダブって見えてしまったり、沖田が死中に活を求めすぎだろうと思ってしまったりしたけれど、1隻対10,000隻の戦いじゃあ仕方ない。「そうするしかないじゃん」と思わせるだけの説得力が十分に感じられるのです。

糸目の曲者が退場したようにも思えますが、彼らもあと1回は活躍の場が与えられるはずなので(ほら、艦内であと1回や2回は戦闘があるじゃないですか)、きちんとした散り際が用意されているものと期待しているのです。



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by non-grata | 2013-04-15 12:33 | 映画

実写版『進撃の巨人』|『ジャックと天空の巨人』感想

d0252390_934220.jpg土曜日夜のお楽しみに映画鑑賞だが、観たいものが適当な時間にやっていなかったため、消去法で『ジャックと天空の巨人』を観に行く。大して期待していなかったが、なかなか楽しめた。

ネタもとである「ジャックと豆の木」はイングランドの民話で、ジャックは牝牛を売りに市場に出かけたが、男に取り引きを持ちかけられて豆と交換する。怒った母親はその豆を捨てたが、豆から木が伸びて天空に達する。そこには巨人が暮らしていたが、ジャックは巨人の宝物を盗んだ後、地上に戻って木を切り倒し、追いかけてきた巨人を墜死させてハッピー・エンド(?)という内容。『天空の巨人』はもっとおどろおどろしいファンタジー仕立てにしている。

その昔、天空で暮らす巨人がイングランドに侵攻。人肉の味を覚えた巨人は暴虐の限りを尽くすが、何とか仕留めた巨人の心臓でつくった「王冠」によって巨人を制御、天空へと帰す。「天空の巨人」が人々の間でおとぎ話になるくらい時代は過ぎたが、その伝説が真実であることを知り、野望のために巨人を利用しようとする者が現れて……という話。

巨人は醜悪かつ残虐で、可愛げのないモンスター。人間をむさぼり食う様はまさに『進撃の巨人』。原題の「巨人殺しのジャック」からして、ほのぼのファンタジーを期待していくと酷い目に遭う。

巨人の心臓でつくった王冠があれば巨人軍の侵攻を止められるので(と書くと、何だか野球の話みたいだ)、落ちは想像できるが、それまでの過程は二転三転で楽しめる。

IMDbに書かれていたちょっといい話(ネタバレ)。

●ダビデとゴリアテのネタが入っていて、ダビデはパチンコでゴリアテ(巨人)を倒したが、『天空の巨人』では巨人がパチンコを使って城攻めをする。
●イアン・マクレガーが言う「has a bad feeling about this(嫌な予感がするぜ)」は、『スター・ウォーズ』の登場人物が必ず言う台詞。オビワン・ケノービとしても2回言っているのだとか。



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by non-grata | 2013-03-25 09:35 | 映画

予告編で満足?|『キャビン』感想

d0252390_1362440.jpg若者が湖畔の別荘で一晩を過ごし、モンスターに襲われる……というのはよくある話。それを誰かに監視されていた……というのもよくある話。しかしここから先は予測不能!! と何とも挑戦的な予告を上映していた『キャビン』、ようやく観に行くことができた。

先に観た人からは、「予告編の通り」「B級」「映画館で観なくてもいいんじゃない」などとアドバイスされた上に、「無理に観る必要もないよ」と結末をネタバレされてしまった。それでも興味を失わなかったので映画館まで足を運んだが……先達の感想はもっともだった。誰かが観に行くというのであれば、同じアドバイスをするだろう。

ここからネタバレ。

予告編があまりに挑発的だったものだから意外性に期待したが、最初からノーガードでネタバレしていたのが少し興ざめ。予告編で晒された内容と、冒頭の流れから、真相はクトゥルフ神話かなあと思ったらその通りでした。

クライマックスの「怪獣総進撃」は、昔懐かしいドリフのコントで収拾がつかなくなるとアップテンポの音楽が流れ出して皆が踊り始めるという、あの落とし方を彷彿とさせて面白かった。悪趣味ではあるが。悪趣味ついでに、半魚人にこだわっていた「監視者」がよく似た顔立ちの半魚人にとどめを刺されるのは、何とも微笑ましい光景だった。



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by non-grata | 2013-03-21 13:25 | 映画

『奪命金』感想(ネタバレ)

d0252390_8343384.jpg「奪命」ときて「金」、それでいて香港映画、怪しげな男性二人と女性一人が大写しになったポスター。こりゃアクション映画に違いないと思って劇場(シネマート心斎橋)へ足へ運んだのだが、予想外れもいいところ。でも期待した以上に楽しい時間を過ごすことができた。

オフィシャル・サイトはここ。iMDbはここ

タイトル通り、「金」をめぐる群像劇で、
1)マンション購入に積極的な妻を持つ警官の夫婦。夫(リッチー・レン)はそれよりも仕事が大事
2)営業成績の不振に悩む銀行員(デニス・ホー)
3)義理堅い、昔気質のヤクザ(ラウ・チンワン)
が主な登場人物。接点がないはずの3人が、ユーロ危機という、これまた縁遠いイベントで交わることになる。

1)の妻は独断でマンション購入を進めようと2)に融資を求める。

1)の警官は3)の兄貴分をしょっ引く。保釈金を準備するため、3)は兄弟分を尋ねる。その兄弟分は株の売買で儲けていたが、ユーロ危機で大暴落。別のヤクザの資金運用に失敗、しかもそれをごまかそうとしたものだから殺されそうになる。そこで3)は親分の誕生日会で知り合った金貸しから金を借り(ると見せかけて脅して奪い)、違法なデイトレードで一発逆転を狙おうとする。

金貸しは3)の借金に申し出に従い2)の銀行で現金1000万ドル(約1億1000万円)を引き出すが、担保(権利書)が半分しか用意できないと連絡を受けたため、500万ドルの現金を2)に「戻しといてくれ」と渡して銀行の駐車場へ。そこで何者かに襲われ、死亡する。

銀行には1000万ドルを引き出した記録はあるが、500万ドルを入金した記録はない。そして口座の名義人は死に、金貸しが持っていた500万ドルも誰かが持って行った。じゃあ、手元に残った500万ドルはどうなる?

と、最初はばらばらに進行していたエピソードが思いがけないところで交錯していくのだ。

誰もが金に関わるのだが、2)が手にする500万ドルは他人の金だし、3)にしても兄貴分にしても、他人の金で儲けている。2)の銀行に老後の資金運用で相談にきたおばさんも、楽して金を儲けようとした(このおばさん、ガス自殺騒動のあったアパートに住んでいた模様)。実体を伴わない金を動かして幸せになろうとした人々が、ユーロ危機という、これまた遠い外国の騒動によって振り回されてしまうという皮肉。そして、金に縁のなかった1)(手付けを打ったマンションが暴落後の反発で高騰)、2)(犯罪を犯したわけだが)、3)(兄弟分がなくなったので一発逆転で儲けた金を懐に)の人生が狂うかもしれないという示唆を残して「劇終」となる。

「Life without Principle」という英語タイトルが腑に落ちる。

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ラウ・チンワンが男気を見せるシーン……なんだけれど、笑えてしまう。最後の葉巻は成り上がった自分へのご褒美か、それとも亡くなった兄弟分への手向けか。

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ゲス顔の金貸し(左)。映画の冒頭で、デニス・ホーに金の何たるかを説く。で、金に振り回される人生は金で命を落とすのだと、身をもって教えてくれるのだ。



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by non-grata | 2013-02-28 09:59 | 映画

今年は何でも五つ星
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