おっさんノングラータ

2012年 08月 30日 ( 1 )




貧乏人の経済学

d0252390_12545763.jpg本書で言う「貧乏人」の定義は、一日99セント以下で暮らすような人々を指し、その意味で日本における貧困の問題とは無縁のように思われるが、ところがどっこい、問題が根は同じであることを教えてくれる。例えば、本当なら必要なカロリーを摂取するために食費に投資すべきなのに、その金がアルコールに化けたり、あるいはテレビを買うためのローンに充てられる。医療にかけられるお金にしてもそう。長期的に見れば適切な医療保険に加入したほうが得なのに、高額な(そして当てにならない)民間療法に頼ったりする。ネット民の言うところの「情弱」だろうか。

情弱は我々の周りにもいる。身体に悪いと知りつつもファーストフードを口にしたり、実は無駄の多い医療保険に加入してみたり。

情弱を別の言葉で言うなら、正しい投資を行えない人、ということになる。それをできるようにするためには、とにもかくにも教育が必要だ。ところが貧しい人にはそもそも教育の機会が与えられず、与えられたとしても教育機関が機能しているとは限らない。そんな問題もある。

で、話は唐突に変わって「マシュマロ・テスト」。これは並行して読んでいた『選択日記』に書いてあったことだけど、子供にマシュマロを1個与えて部屋に一人にさせる。親がいつ部屋に戻ってくるかは教えずに、戻ってくるまで食べるのを我慢していたらもう1個もらえる。どうしても食べたくなったらブザーを鳴らす、という実験をしたところ、7割の子供がブザーを鳴らしてしまったという。論理的に考えれば我慢したほうがより多くの利益を得られるのだが、そのような選択はできなかった。将来の2個より目先の1個。ちなみに我慢した3割の子供のほうが、平均すると高学歴、高所得の大人に育ったという。

3割の子供たちはどうして我慢できたのか? 多くは「別のことを考える」「マシュマロが存在しないものと思う」など、想像力を働かせたのである。なるほど、自分のありたいと願う将来像を描ければ正しい投資ができるということか。とは思ったものの、それが簡単には描けないから貧困の問題が解決しないのである──ということも、本書にはちゃんと書いてある。良書。
[PR]



by non-grata | 2012-08-30 13:55 | 読書

今年は何でも五つ星
by non-grata
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1 2 3 4
5 6 7 8 9 10 11
12 13 14 15 16 17 18
19 20 21 22 23 24 25
26 27 28 29 30 31

フォロー中のブログ

最新のトラックバック

検索

ブログパーツ

最新の記事

外部リンク

ファン

ブログジャンル

画像一覧