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おっさんノングラータ

(M12)豆大/吾平世代でも楽しめます|『たまこラブストーリー』感想

ここのところ観たいと思える作品がなかったわけですが、昨日、アリオ八尾に富永TOMMY弘明と橋本仁が来て、『ジョジョの奇妙な冒険』第一部、第三部のOPテーマを披露するというじゃありませんか! それならばと、MOVIX八尾で何か観たついでに生歌も聴こうと、順番が逆なような気もしますが映画を観に行った次第です。それが『たまこラブストーリー』。

(M12)豆大/吾平世代でも楽しめます|『たまこラブストーリー』感想_d0252390_13265728.jpgテレビ・シリーズ後の話ではありますが、独立した作品として鑑賞しても楽しめるラブコメに仕上がっています。本編を最後まで見たにもかかわらず、殆ど忘れてしまっていたおっさんが楽しめたんだから間違いない。

例えば現在放送中の『ニセコイ』が童貞の妄想を具現化したような突拍子のない話だったり、上映前に予告編が流れていた『好きっていいなよ。』が処女スイーツ(笑)に喜ばれそうな設定だったり、ラブコメは非現実的、あるいは非日常的なものが多いようです。なお、おっさんにとってはそれらも大好物で、『ニセコイ』は欠かさず見てますし、『好きって〜』は観ないと思うけれど『カノジョは嘘を愛しすぎてる』は観ました。面白かった。

それもそのはず、映画に出演しているのは美男美女、それらに感情移入して物語に没入するなら、身近に感じられる日常的な話よりも、現実ではなかなかお目にかかれないファンタジーのほうが面白いはず。なのですが、『たまこラブストーリー』を観ると、日常の中にも美しく素晴らしいものやことがいくらでも存在することに気づかされます。

ストーリーは実にシンプル。高校を卒業したら東京の大学へ進み、映像の勉強をしたいと考えるもち蔵が、自分の進路のことと、想いを、幼馴染みであるたまこに告げるというだけ。部活、進路、卒業、友情、恋愛と、誰もが思春期に直面する悩みとそのブレイクスルーが丁寧に描かれているので最後まで楽しめます。自分の年齢を考えると、どうしても親が子を見守るような視線になってしまうのですが。お父さん(豆大)とかお父さん(吾平)に感情移入してしまいます。

そういう世代が観ても面白いと思えるのは、彼らにもたまこ/もち蔵のような時期があったということを、きちんと描いてくれているから。娘/息子たちが親のことを想って、親たちもまた娘/息子のことを想う件に泣かされます。

アニメーションの良いところはカリカチュアによる演出が可能なところで、例えばもち蔵に告白された後、うさぎ山商店街の面々にもロマンスがある/あったことをたまこが知るシーン。これは実写だと、豆大とひなこのエピソードもあるのでくどくなりそうですが、本作では良い感じでスパイスになっています。また女の子たちの多少誇張された振る舞いが可愛らしさを生み、男の子たちの場合は憎めない馬鹿っぽさを際立たせているのは、京アニの面目躍如といったところでしょうか。自分が知らないだけかもしれませんが、これは京アニ以外の作品では感じたことはありません。

みどりちゃんがたまこに抱く複雑な感情とその変化もきれいに描かれています。一緒に映画を観た家人に言わせると、「思春期の女の子特有の、友情と愛情の狭間で揺れる独占欲的なもの」だそうで、実写でリアルにやるとどぎつくなりそうですが(男の子との取り合いにならなければ『櫻の園』のようにきれいにまとめられるか)、「絵」のおかげか適度に抑制された演出となり、しかし全編ほわわんとした話の中で、良いアクセントになっていました。

みどりちゃんの場合は多少、想いが行き過ぎなところがありましたが、『たまこマーケット』はいつだって誰かが誰かを想っているという当たり前だけれど大事なことを教えてくれる作品でした(よな)。そして本作『たまこラブストーリー』では、佐野元春の歌じゃないですが、「いつかは愛の謎が解けて/一人きりじゃいられなくなる」話なのでした。

豆大/吾平世代なのでそれまでは生温かく見守っていたはずなのが、ラストシーンで、たまこ/もち蔵と同じ視線に引っ張られます。ずるい、と思いつつも感涙せずにはいられません。






by non-grata | 2014-05-07 14:52 | 映画

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