おっさんノングラータ

(B11)抜き出し名言が嬉しい|『武士道の名著』(★★★★★)

d0252390_10203270.jpgその昔、『五輪書』を愛読している外国人に武士道についていろいろ聞かれ、きちんと答えられなかった経験があります。今も怪しい。本作で武士道が確立していった過程を学べば、それなりに対応できるんじゃないでしょうか。

本作では発表順に『甲陽軍鑑』『兵法家伝書』『五輪書』から『葉隠』『言志四録』、そして『武士道』と、全部で12の武士道関連著作とその背景を紹介しています。時代の推移とともに武士道に求められることも変化しているのが興味深い。さらに、各書の「名言」がピックアップされているのも嬉しい。気になったのをいくつか紹介します。

『呉子』に曰く、世を必するときは即ち死す。死を必するときは即ち生く。(甲陽軍鑑)

戦場で臆病にしていたらかえって危ない、死ぬ気持ちで臨めば活路も拓ける……という話。『オーガストウォーズ』で、兵員輸送車に乗って息子を捜すお母さんが、敵の襲撃を受けて脅えるシーンがあります。その時にロシア兵が「怖いか? 怖いと思う方向から目を逸らしたら死ぬぞ」とアドバイスするんですが、それと似てますかね。

打にうたれよ、うたれて勝つ心持ちの事。(兵法家伝書)

敵に一太刀浴びせるのはそんなに難しいことではないけれど、敵から打たれないようにするのは大変よ、だから確実に仕留めなさい。心臓に必ず2発弾丸を撃ち込む殺し屋の話を思い出しました。主導権を得ている間に反撃の余地を与えることなく攻撃する、というのは兵法の基本ですね。

武士道と云は、死ぬ事と見付たり。(葉隠)

武士はとりあえず死ね、死んどけ、ということではありません。生死がかかるような非常事態において、適切に物事を判断するのは難しい。ならば、とりあえず死ぬ確率が高い選択肢を採っておけ、という話です。結果、死んだ=仕方ないよね、でもよく頑張った、という評価になるし、生き残った=よくあの苦境を脱した、素晴らしい、と褒められる。ところが楽な道を選べば、死んだ=アホちゃうか、生き残った=この恥さらしが! ということになる。

古い映画ですが、『ヤングガン』で、メキシコへ逃れようとする仲間に対してビリー・ザ・キッド(エミリオ・エステベス)が言います。「男は毎日がテストだ。テストから逃れると腕が落ちて、いずれ死んでしまう。敵も俺たちが南へ行くと思っているだろう。メキシコへ行くのは最高のテストだ!」そんな感じですかね。結局、みんな死んでしまうわけですが。

当今の毀誉は懼るるに足らず。後世の毀誉は懼る可し。(言志四録)

今の評価は気にせず、後世の評価は気にせよ=今は誤解されて貶められるかもしれないが、後には正しいことは必ず評価される、という意味。佐藤一斎はなかなか面白いことを書いていて、「皆忙しいと言っているけど、意味のある仕事をしているのはそのうち1-2割、残りの8-9割はどうでもいい仕事をしている」とか、「一年のうちで無用な仕事は7割。けれど何か仕事についているから悪いことを考えないで済むので、これも無用の用なのだ」とか。

自分自身の良心を、主君の気まぐれな意志や酔狂や妄想のために犠牲にする者に対し、武士道では低い評価が与えられた。(武士道)

新渡戸先生、宮仕えしている者に染み入るお言葉です。『葉隠』にも関連する良い言葉がありました。「奉公の至極の忠節は、主に諫言して、国家治むる事也。下の方にくどつきまはりては益不立。然ば家老に成が奉公の至極也」。主がアレな時、うまくコントロールするのが至極の奉公なんですね。まさに武士道と云は、というやつですよ!



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by non-grata | 2014-03-28 12:02 | 読書

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