おっさんノングラータ

(B07)表紙詐欺|『星になるには早すぎる』感想(★★★★★)

d0252390_919841.jpgこれも日経新聞の書評で知った一冊ですが、書評を読んでいなかったら書店で手に取った可能性ゼロですわ。萌え系アニメ系を狙って外したようなイタい表紙に、それだけ取り出したら気恥ずかしいタイトル。(おっさんが)手に取るにはキツすぎる、てなもんです。

主人公は元女性刑事。自分のミスで婦女暴行犯を死なせてしまったことで警察を辞め、引きこもって酒浸りになっているところを、交渉(ネゴ)屋にスカウトされる。交渉屋の仕事は文字通り、あらゆる諍いを交渉によってまとめること。例えば……

「七つの子」。元教師だった母親が住む自宅を売却したがっている子どもたちからの依頼。母親は頑なに拒否するばかりか、最近はソフビの怪獣人形を買い漁るなど、もしかすると痴呆の症状が出ているのではないかと思われる言動も見られます。果たして彼女に自宅売却を納得させられるのか? 日常ミステリの要素もあり、隠された謎が明らかになるところで涙腺決壊必至。星一つ

「羽衣の下」。西宮歌劇(もちろん、宝塚歌劇が元ネタ)出身の女優にハリウッドの大物監督から映画出演のオファーが。しかしベッド・シーンが含まれていたため、女優はこれを拒む。彼女を「脱がせる」ため、交渉屋の登場です。着ているものだけではなく、心のカードも取り除くというベタな展開ですが、それがいいのです。星一つ

この女優がなかなか格好良いことを言っていまして、
「私たちに時間を巻き戻すすべはない。過去の失敗の責任なんて誰にも取れはしないの。せいぜいやれるのは、上から成功を覆いかぶせて傷跡を見えなくすることぐらい」
「この世で一番の罪は、無知でいること。愚かな人間は、いつか必ず他人を不幸にする」
などなど。三十路女同士のやり取りが微笑ましくて星一つ

「錆び鉄」。撮り鉄/乗り鉄とは関係なく、「錆びた鉄人」の意味か。在阪球団の四番打者がFAで横浜の球団へ移籍。単なる戦力アップだけではなく、チームの精神的支柱ともなり、移籍最初の年に弱小チームを優勝に導く……までは良かったのですが、その後は肉体の衰えを隠すことはできず、チームも連続でBクラス。その元凶こそ連続試合出場記録だけが取り柄となった彼であり、さらに高額の複数年契約のために球団の財政事情が逼迫、補強もままならない状態です。交渉屋に、契約内容を出来高制に変更する依頼が舞い込みます。3話の中で最もコミカルな内容ですが、主人公・薫の、交渉屋としての成長は見られないのに交渉を成功させる能力の成長が見られる話となっています。星一つ

続編に期待して星一つ

ところで、装画のクレジットは主人公である「一ノ木薫」と一字違いの「一ノ瀬かおる」なんですが、少女漫画家とイコールなんでしょうか。



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by non-grata | 2014-02-17 10:12 | 読書

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