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おっさんノングラータ

(B06)ツンデレにもほどがある|『白の団と黒い王子』感想(★★★★★)

(B06)ツンデレにもほどがある|『白の団と黒い王子』感想(★★★★★)_d0252390_8103447.jpg多い日でもアクセス数が3桁いかない泡沫ブログですが、それでも何らかの傾向が見て取れまして、最近はほぼ1年前の「『軍靴のバルツァー』感想」にアクセスが偏っています。何でや? と思っていたら、書店で最新第6巻を見つけて納得。それまでの話を忘れてしまうので、最新刊読むたびに既刊を読み返さないといけません。一気読みしたいタイプの作品ですよね。

それはさておき『白の団と黒い王子』。コナン・ドイルが19世紀に書いた騎士道物語で、舞台は百年戦争。Wikipediaによると、「ドイル自身は自らの歴史小説やSF物のほうに価値を感じ、シャーロック・ホームズシリーズを快くは思っていなかった。『白衣の騎士団』のような中世の騎士道を描きたかったといわれる」とありますが、いやいやこれ当時のラノベでしょ、という切り口で挑んだ訳書です。その大胆さに星一つ

修道院育ちで世間知らずのアレインが主人公。旅の途中で傭兵の仲間となり、トゥイナム城城代の騎士であるナイジェル卿の娘モードの危機を救ったことが縁でモードたちの家庭教師となり、卿の従騎士となって従軍、海戦に決闘、籠城戦を経験してスペインはピレネー侵攻に参加するという冒険譚。もちろん、モードとのロマンスあり。何というラノベ!星一つ

役者の後書きにもある通り、本作が翻訳されるのはこれが3回目で、最初は抄訳、2回目は原書房らしくクソ真面目な完訳で、今回は「超訳」。ダイジェストで書けばなるほど冒険譚ですが、そこは19世紀の小説、物語の進行はゆっくりとしており、目指しているところもなかなか明らかにはなりません。未読ですが、原書房の『白衣の騎士団』に挑戦していたら、途中で投げ出していたことでしょう。『白の団〜』は、訳者が適宜フォローしてくれている(と思う)ので、読みやすく、現代の読者でも置いてけぼりにされることはありません。星一つ。もちろん、百年戦争の概要を知っておくと、より深く楽しめるはずです。

原作から変えているのはエイルワードを男性から女性にしたことですが、面白いからそれでよし。「斑のチョウゲンボウ」の女将とのやり取りも、一層興味深いものになっています。

上巻のラスト、アレインがツンデレのモードに告白する件は、中世の趣きを残しながらも正統なツンデレの返しで、見事と言うほかはありますまい。星一つ。その父親がまた、誰にでも決闘を挑んでしまう「決闘マニア」で、アレインがモードに対する想いをなかなかオープンにできないあたりも、ベタな展開ですが楽しめます。大いに笑わせてくれたナイジェル卿に星一つ

前述の通り、Wikipediaにはコナン・ドイルは「中世の騎士道を描きたかった」とありますが、『白の団〜』を読むと、実はもう少し通俗的な話を書きたかったのでは? と思わされます。そのくらい今回の「超訳」が素晴らしかったということでもあるのですが。






by non-grata | 2014-02-13 08:42 | 読書

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