おっさんノングラータ

(M05)男の生き方二題|『ラッシュ』感想(★★★★★)

d0252390_11542467.jpg全くF1に興味がない人が観ても理解できるし面白いし、けれどもこの映画がきっかけでF1に興味を持つかと言えば疑問。しかし人間、特に男性の生き方が面白く感じられるようになる作品です。

1976年のF1シーズンはちょっとした奇跡のシーズンでして、前年の王者フェラーリのニキ・ラウダに対して、マクラーレンに移籍したジェームス・ハントが激しいポイント争いを繰り広げます。運命を受けたのはドイツ・ニュルブルクリンクのレース。元々危険なコースでしたが、降り続く雨で路面コンディションも最悪。「20%を超えるリスク」を嫌うラウダはレースの中止を提議しますがハントたちの反対にあって強行されます。そしてラウダは、生死の境をさまよう大事故に見舞われるわけです。

で、物語はF3時代から因縁が続くラウダとハントの物語を描き、二人がF1ドライバーに昇格した翌年、1976年のシーズンに焦点を当てています。まずはラウダ(ダニエル・ブリュール)、ハント(クリス・ヘムズワース)ともにそっくりなことに星一つ。本人映像見て驚きました。

真面目で秀才肌のラウダと、奔放で天才肌のハント。二人の対比が鮮やかです。これは後にわかることですが、対比はしていても対立はしていない。男なら誰でも持っている二律背反な要素です。

例えばラウダ。誠実で美人の奥さんがいて、家庭を第一に考える生き方を貫いた結果、リスクを回避します。しかしハントは、「死に神を見返してやる」とばかりにリスクを度外視した走りをしてレースに勝利するわけです。どちらが正しい/間違っているとは言い切れません──二人は世界最速をかけて戦うF1レーサーなのですから。などということを考えさせられ、星一つ。後者の生き方が理想と思いつつ、実際にやっていることは前者、という人も少なくないでしょう。

ではラウダの生き方がつまらないかと言えばそんなことはなく、映画ではラウダ夫人との出会いをコミカルに描いています。ここも見どころで星一つ。初夜、幸せを持つのが怖い、それを失うのが怖いとつぶやく夫に夫人が返す「too late」にどきりとさせられます。

レースのシーンはド迫力。大音響のエキゾースト・ノイズを耳にするだけで身体が震えます。どうやって撮ったの? と思えるくらいにスタンドも車もリアル(富士の「たいれる」まで再現)。車好きでなくても魂を鷲掴みにされます。星一つ。「男は女が好きだが、車はもっと好き」「車を発明した奴も俺たちがこんなに車を愛したとは思っていまい」(うろ覚え)なる名台詞も飛び出します。

シーズン後、ラウダとハントの二人は思わぬ場所で出会います。ラウダは正直にハントの才能を認め、羨ましがりますが、ハントはラウダに対して同じ感情を抱いたかどうかは最後まで明かされません。ラストがなかなか意味深で星一つ。いい映画でした。



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by non-grata | 2014-02-12 13:03 | 映画

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