おっさんノングラータ

特攻隊を彷彿させられる|『新徴組』感想

d0252390_1343528.jpg久しぶりに読みました、佐藤賢一の歴史小説。『小説フランス革命』も読まないと。

京都の新選組に対して江戸には新徴組があり、治安活動に従事した。新徴組が町中を見回っている間は不逞の輩もおとなしくしているので、「お巡りさん」と親しみを込めて呼ばれた──なるほど、「新徴組」で画像検索すると、警官のイラストが出てくるわけです。沖田総司の義兄・林太郎を主人公に、新徴組の遍歴が描かれる。

新選組は会津藩に、新徴組は庄内藩預かりになったことで、戊辰戦争では奥羽戦争に従軍。物語のもう一人の主役、庄内藩の酒井玄蕃は早くから軍隊の西洋化に努め(軍隊で一番に求められるのは行軍力であり、そのための訓練──右手と右足、左手と左足を同時に出すのがそれまでの歩き方だったのを右手と左足、左手と右足を出すように改めた──を新徴組に施し、基幹戦力に育て上げた)、新政府軍を何度も撃退する。

奥羽列藩同盟の崩壊もあり、結局は恭順せざるを得なくなったが、強兵で鳴らした庄内藩に対しては、新政府軍も無体なことはできなかった。死を賭しても誇りを守る姿勢が、勝者をして驕者にさせないということか。

名調子の佐藤節は健在。少し長くなるけれど、引用。

「尊皇でも、攘夷でもありません。徳川の世を終わらせて、毛利の世を造りたいと、それだけの話なんですよ。それを悪いというつもりはない。むしろ、それだから、もっともらしい言葉はいけないというんです」
「どうして、ですか」
「横着することになるからです。自分が正しいのだと唱え、もって相手をけなしたところで、自分が高まるわけじゃない。相手を低くみるだけだから、自分はひとつも変わっていません。当然ながら相手は折れませんから、結果として争いだけが大きくなる」

これは玄蕃と林太郎の会話。もっともらしい大義名分を掲げて偉くなったつもり、というのが危険。気をつけよう。

沖田総司はもちろん、近藤、土方も登場。同時期に読んでいたこの作品の土方が、どうにもラノベに出てくる根拠がないのに頼れる兄貴風だったのに対し、こちらは体臭すら感じさせる存在感を帯びていた。



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by non-grata | 2013-06-07 14:02 | 読書

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