『奪命金』感想(ネタバレ)
「奪命」ときて「金」、それでいて香港映画、怪しげな男性二人と女性一人が大写しになったポスター。こりゃアクション映画に違いないと思って劇場(シネマート心斎橋)へ足へ運んだのだが、予想外れもいいところ。でも期待した以上に楽しい時間を過ごすことができた。
オフィシャル・サイトはここ。iMDbはここ。
タイトル通り、「金」をめぐる群像劇で、
1)マンション購入に積極的な妻を持つ警官の夫婦。夫(リッチー・レン)はそれよりも仕事が大事
2)営業成績の不振に悩む銀行員(デニス・ホー)
3)義理堅い、昔気質のヤクザ(ラウ・チンワン)
が主な登場人物。接点がないはずの3人が、ユーロ危機という、これまた縁遠いイベントで交わることになる。
1)の妻は独断でマンション購入を進めようと2)に融資を求める。
1)の警官は3)の兄貴分をしょっ引く。保釈金を準備するため、3)は兄弟分を尋ねる。その兄弟分は株の売買で儲けていたが、ユーロ危機で大暴落。別のヤクザの資金運用に失敗、しかもそれをごまかそうとしたものだから殺されそうになる。そこで3)は親分の誕生日会で知り合った金貸しから金を借り(ると見せかけて脅して奪い)、違法なデイトレードで一発逆転を狙おうとする。
金貸しは3)の借金に申し出に従い2)の銀行で現金1000万ドル(約1億1000万円)を引き出すが、担保(権利書)が半分しか用意できないと連絡を受けたため、500万ドルの現金を2)に「戻しといてくれ」と渡して銀行の駐車場へ。そこで何者かに襲われ、死亡する。
銀行には1000万ドルを引き出した記録はあるが、500万ドルを入金した記録はない。そして口座の名義人は死に、金貸しが持っていた500万ドルも誰かが持って行った。じゃあ、手元に残った500万ドルはどうなる?
と、最初はばらばらに進行していたエピソードが思いがけないところで交錯していくのだ。
誰もが金に関わるのだが、2)が手にする500万ドルは他人の金だし、3)にしても兄貴分にしても、他人の金で儲けている。2)の銀行に老後の資金運用で相談にきたおばさんも、楽して金を儲けようとした(このおばさん、ガス自殺騒動のあったアパートに住んでいた模様)。実体を伴わない金を動かして幸せになろうとした人々が、ユーロ危機という、これまた遠い外国の騒動によって振り回されてしまうという皮肉。そして、金に縁のなかった1)(手付けを打ったマンションが暴落後の反発で高騰)、2)(犯罪を犯したわけだが)、3)(兄弟分がなくなったので一発逆転で儲けた金を懐に)の人生が狂うかもしれないという示唆を残して「劇終」となる。
「Life without Principle」という英語タイトルが腑に落ちる。
ラウ・チンワンが男気を見せるシーン……なんだけれど、笑えてしまう。最後の葉巻は成り上がった自分へのご褒美か、それとも亡くなった兄弟分への手向けか。
ゲス顔の金貸し(左)。映画の冒頭で、デニス・ホーに金の何たるかを説く。で、金に振り回される人生は金で命を落とすのだと、身をもって教えてくれるのだ。
オフィシャル・サイトはここ。iMDbはここ。
タイトル通り、「金」をめぐる群像劇で、
1)マンション購入に積極的な妻を持つ警官の夫婦。夫(リッチー・レン)はそれよりも仕事が大事
2)営業成績の不振に悩む銀行員(デニス・ホー)
3)義理堅い、昔気質のヤクザ(ラウ・チンワン)
が主な登場人物。接点がないはずの3人が、ユーロ危機という、これまた縁遠いイベントで交わることになる。
1)の妻は独断でマンション購入を進めようと2)に融資を求める。
1)の警官は3)の兄貴分をしょっ引く。保釈金を準備するため、3)は兄弟分を尋ねる。その兄弟分は株の売買で儲けていたが、ユーロ危機で大暴落。別のヤクザの資金運用に失敗、しかもそれをごまかそうとしたものだから殺されそうになる。そこで3)は親分の誕生日会で知り合った金貸しから金を借り(ると見せかけて脅して奪い)、違法なデイトレードで一発逆転を狙おうとする。
金貸しは3)の借金に申し出に従い2)の銀行で現金1000万ドル(約1億1000万円)を引き出すが、担保(権利書)が半分しか用意できないと連絡を受けたため、500万ドルの現金を2)に「戻しといてくれ」と渡して銀行の駐車場へ。そこで何者かに襲われ、死亡する。
銀行には1000万ドルを引き出した記録はあるが、500万ドルを入金した記録はない。そして口座の名義人は死に、金貸しが持っていた500万ドルも誰かが持って行った。じゃあ、手元に残った500万ドルはどうなる?
と、最初はばらばらに進行していたエピソードが思いがけないところで交錯していくのだ。
誰もが金に関わるのだが、2)が手にする500万ドルは他人の金だし、3)にしても兄貴分にしても、他人の金で儲けている。2)の銀行に老後の資金運用で相談にきたおばさんも、楽して金を儲けようとした(このおばさん、ガス自殺騒動のあったアパートに住んでいた模様)。実体を伴わない金を動かして幸せになろうとした人々が、ユーロ危機という、これまた遠い外国の騒動によって振り回されてしまうという皮肉。そして、金に縁のなかった1)(手付けを打ったマンションが暴落後の反発で高騰)、2)(犯罪を犯したわけだが)、3)(兄弟分がなくなったので一発逆転で儲けた金を懐に)の人生が狂うかもしれないという示唆を残して「劇終」となる。
「Life without Principle」という英語タイトルが腑に落ちる。
ラウ・チンワンが男気を見せるシーン……なんだけれど、笑えてしまう。最後の葉巻は成り上がった自分へのご褒美か、それとも亡くなった兄弟分への手向けか。
ゲス顔の金貸し(左)。映画の冒頭で、デニス・ホーに金の何たるかを説く。で、金に振り回される人生は金で命を落とすのだと、身をもって教えてくれるのだ。
by non-grata
| 2013-02-28 09:59
| 映画
S | M | T | W | T | F | S |
1 | 2 | |||||
3 | 4 | 5 | 6 | 7 | 8 | 9 |
10 | 11 | 12 | 13 | 14 | 15 | 16 |
17 | 18 | 19 | 20 | 21 | 22 | 23 |
24 | 25 | 26 | 27 | 28 | 29 | 30 |
31 |
フォロー中のブログ
最新のトラックバック
検索
ブログパーツ
最新の記事
(M20)豪華仮装大会|『る.. |
at 2014-08-20 17:01 |
(B42)猫が慰めてくれるは.. |
at 2014-08-19 15:23 |
プチツーリングで福住〜大宇陀 |
at 2014-08-18 13:36 |
(B41)今度は戦争だ|『ね.. |
at 2014-08-11 13:15 |
彦根へ小ドライブ |
at 2014-08-05 08:28 |