高卒vsビン・ラディン|『ゼロ・ダーク・サーティ』感想
普段使いのinfinityのノーズパッドが壊れました。
長く使っているので経年劣化か? 片方は生きているので、なぜか机の引き出しにあった靴用接着剤の点づけで応急修理。買い換えるか。
眼鏡市場にinfinityそっくりなデザインのモデルがあったけど、あれは許されるんだろうか。
少し前にこんなニュースが話題になった。
ビンラディン殺害の「武勲」の元米兵 年金や保険ない生活苦
最後まで記事を読むと、タイトルに「!?」をつけるべきかという気もしてくるが、アメリカの帰還兵が辛い思いをしたり、虚無感に襲われたりするのはベトナム戦争、いや朝鮮戦争以来の伝統か。ともあれ、ビン・ラディンを殺害したネプチューン・スピア作戦をテーマにした『ゼロ・ダーク・サーティ』にしてみれば、映画への興味を喚起するニュースであった。
「ゼロ・ダーク・サーティ」とは午前0時30分を指す。海兵隊の特殊部隊SEALがビン・ラディンの潜伏先を襲撃した時間で、劇中でもマヤ(ジェシカ・チャステイン)が時計を見ると、その時間が表示されているというシーンがある。この襲撃が本作のクライマックスになるが、そこに至るまでが長い。決して退屈というわけではないが、何せビン・ラディンを追い詰めるのに10年もかかったのだから仕方がない。もともと本作は、その10年間の失敗をテーマにしていたそうだが、脚本を全面的に書き換え(そりゃそうだ)、ネプチューン・スピア作戦までカバーすることとなった。この作戦シーンは全部で25分あるが、実際の作戦よりほんの数分、短いだけだという。
以下、ネタバレあり。
物語は高卒でCIAにリクルートされた(ことは後々明らかにされる)マヤが、パキスタンへ赴任したところから始まる。捕虜を拷問したり、アル・カイーダに騙されて仲間を自爆テロで失ったりしながらビン・ラディンの隠れ家を突き止める。突き止めてからも、「イラクに戦争しかけたけど大量破壊兵器なんてありませんでした、てへ」の失敗を繰り返すわけにはいかないから、CIAは慎重になる。このマヤが見つけた隠れ家にビン・ラディンが潜んでいる可能性を長官に問われて、大の男たちは煮え切らない返事。パキスタンからさっさと本部へ引き揚げた元上官は「よくて60%」と答え、マヤを呆れさせる。「100%、でもそれだと皆びびるから95%」それがマヤの答えである。男前だ。
最初のCIA長官とのブリーフィングでも、マヤの男前ぶりは発揮される。長官に誰何され、「この場所を見つけたマザーファッカーです、長官」ときたもんだ。
前掲のニュースの中でも触れられている、元SEAL隊員による著書『NO EASY DAY』にもマヤに相当する人物がちらっと登場するらしい。同書では、実際は隠れ家を爆撃するのか、それとも特殊部隊で襲撃するのか、喧々諤々の議論がかわされたそうだが、映画ではその件はカット。代わりにマヤに、SEAL隊員たちを前にしてこう言わせる。「率直に言って、あなたたちとその装備を送り込むつもりはなかったの。できれば、爆弾を落としてやりたかった。でも、誰もそこまで情報を信じてくれなかったってわけ。だからあなたたちをカナリアとして使います。もしそこにビン・ラディンがいなければ、こっそり戻ってくることができる。でももしいれば、殺して。私のために」
マヤが帰国するための専用機(C-130か?)に乗り込むシーンで幕が下りる。パイロットが「あんたは相当な大物なんだな。どこでも好きなところへ飛ぶぜ」と軽口を叩く。これが第二次世界大戦の映画なら軽口で返せるかもしれない。しかしこれは、誰が誰と何のために戦っているのかさえもよくわからないテロ戦争。彼女がただ涙するのも仕方がなかった。
長く使っているので経年劣化か? 片方は生きているので、なぜか机の引き出しにあった靴用接着剤の点づけで応急修理。買い換えるか。
眼鏡市場にinfinityそっくりなデザインのモデルがあったけど、あれは許されるんだろうか。
少し前にこんなニュースが話題になった。
ビンラディン殺害の「武勲」の元米兵 年金や保険ない生活苦
最後まで記事を読むと、タイトルに「!?」をつけるべきかという気もしてくるが、アメリカの帰還兵が辛い思いをしたり、虚無感に襲われたりするのはベトナム戦争、いや朝鮮戦争以来の伝統か。ともあれ、ビン・ラディンを殺害したネプチューン・スピア作戦をテーマにした『ゼロ・ダーク・サーティ』にしてみれば、映画への興味を喚起するニュースであった。
「ゼロ・ダーク・サーティ」とは午前0時30分を指す。海兵隊の特殊部隊SEALがビン・ラディンの潜伏先を襲撃した時間で、劇中でもマヤ(ジェシカ・チャステイン)が時計を見ると、その時間が表示されているというシーンがある。この襲撃が本作のクライマックスになるが、そこに至るまでが長い。決して退屈というわけではないが、何せビン・ラディンを追い詰めるのに10年もかかったのだから仕方がない。もともと本作は、その10年間の失敗をテーマにしていたそうだが、脚本を全面的に書き換え(そりゃそうだ)、ネプチューン・スピア作戦までカバーすることとなった。この作戦シーンは全部で25分あるが、実際の作戦よりほんの数分、短いだけだという。
以下、ネタバレあり。
物語は高卒でCIAにリクルートされた(ことは後々明らかにされる)マヤが、パキスタンへ赴任したところから始まる。捕虜を拷問したり、アル・カイーダに騙されて仲間を自爆テロで失ったりしながらビン・ラディンの隠れ家を突き止める。突き止めてからも、「イラクに戦争しかけたけど大量破壊兵器なんてありませんでした、てへ」の失敗を繰り返すわけにはいかないから、CIAは慎重になる。このマヤが見つけた隠れ家にビン・ラディンが潜んでいる可能性を長官に問われて、大の男たちは煮え切らない返事。パキスタンからさっさと本部へ引き揚げた元上官は「よくて60%」と答え、マヤを呆れさせる。「100%、でもそれだと皆びびるから95%」それがマヤの答えである。男前だ。
最初のCIA長官とのブリーフィングでも、マヤの男前ぶりは発揮される。長官に誰何され、「この場所を見つけたマザーファッカーです、長官」ときたもんだ。
前掲のニュースの中でも触れられている、元SEAL隊員による著書『NO EASY DAY』にもマヤに相当する人物がちらっと登場するらしい。同書では、実際は隠れ家を爆撃するのか、それとも特殊部隊で襲撃するのか、喧々諤々の議論がかわされたそうだが、映画ではその件はカット。代わりにマヤに、SEAL隊員たちを前にしてこう言わせる。「率直に言って、あなたたちとその装備を送り込むつもりはなかったの。できれば、爆弾を落としてやりたかった。でも、誰もそこまで情報を信じてくれなかったってわけ。だからあなたたちをカナリアとして使います。もしそこにビン・ラディンがいなければ、こっそり戻ってくることができる。でももしいれば、殺して。私のために」
マヤが帰国するための専用機(C-130か?)に乗り込むシーンで幕が下りる。パイロットが「あんたは相当な大物なんだな。どこでも好きなところへ飛ぶぜ」と軽口を叩く。これが第二次世界大戦の映画なら軽口で返せるかもしれない。しかしこれは、誰が誰と何のために戦っているのかさえもよくわからないテロ戦争。彼女がただ涙するのも仕方がなかった。
by non-grata
| 2013-02-19 10:28
| 映画
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