おっさんノングラータ

性風俗史としても秀逸|『幽女の如き怨むもの』感想

d0252390_15391240.jpg年末に「このミス」を読んで、そうそう三津田信三の新刊出てたんだ、と思い出して買ってきて正月に読む、というのがここ何年かのパターン。今年の正月休みはノー読書デーが続いたので、ようやく読了した次第。

とある遊郭で起きた、戦前、戦中、戦後の投身自殺。その謎に、我らが刀城言耶が挑む。戦前の話は最初は身売りされた娘の日記。戦中は女将の証言。戦後は、ある作家が書いた文章という体裁で物語が展開し、刀城言耶の「解釈」で占められる。

「この世の全ての出来事を人間の理知だけで解釈できると断じるのは人の驕りである。
この世の不可解な現象を最初から怪異と受け入れてしまうのは人の怠慢である」

作中に登場する作家が引用する刀城言耶のこの言葉こそ本書を楽しむ姿勢で、読者なりに日記と証言、それに連載記事からくみ取れる情報を咀嚼し、できる限り解釈しようと努力するのが実に楽しい。もちろん純粋に読み物としても面白く、かつ本作は日本の性風俗史も詳しく解説されているので、ついつい読み耽ってしまう。鬼灯のあんな使われ方や、突撃一番に精液溜まりがない理由とか、誰得な情報がてんこ盛りだ。

少しネタバレになるが、入れ墨の件で「犯人」だけはわかった。それでも最後まで、最後の最後まで読むと背筋が冷たいものが走った。やはり三津田信三の作品は最後まで気を抜けない。



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by non-grata | 2013-02-15 16:01 | 読書

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