おっさんノングラータ

ビジュアルはC・イーストウッドで|『スカウト・デイズ』感想

d0252390_17215278.jpg野球とミステリ。どちらも好物なので、その二つが一緒になったものは……胸焼けして食べられないんじゃないかと、手を出していなかったのだが、手軽に読める本をと書店で手に取った『スカウト・デイズ』、読み始めたら止まらない面白さだった。

ドラフトのたびに「堂神マジック」と呼ばれる奇策を打つ伝説的スカウトの堂神。その「堂神マジック」でまさかのドラフト3位で指名された久米だが、故障のため、活躍する間もなく戦力外通告を言い渡される。久米は堂神にスカウトとして拾われる。

本作はいろんな角度で楽しめる。新入りスカウトの成長物語。久米は、堂神から厳しく指導を受けつつも、自分なりにスカウトのあるべき姿を模索する。それからプロ野球裏話。もちろん具体的な話は書かれていないが、普段日の当たらないプロ野球のスカウトがどんなことをしてているのか、またしてきたのか、それとなく教えてくれる。さすがは元スポーツ新聞記者といったところか。

堂神には、スカウト・チーム丸ごと別の球団へ移籍しようとした節があった。また、「堂神一家」の一人が自殺している。堂神にしか知り得ない情報網もある。これらの謎が示すものは──というのがミステリの部分。

スカウトを題材にした物語としては、映画『人生の特等席』が記憶に新しい。データ至上主義で安い選手を見つけてくる『マネー・ボール』へのアンチテーゼになっているが、『スカウト・デイズ』に出てくるスカウトもクリント・イーストウッドに近い。堂神のイメージとぴったり重なるのが面白い。「何でもかんでもパソコンに頼ろうとするな、スカウトは足で稼げ、自分の目で見て判断しろ」である。そう言えば同作でも新入りスカウトは老スカウトが見つけ出した元投手だった。

好きなもの二つを無理矢理くっつけられたのなら困るが、それぞれを素材として一つのものにまとめ上げてくれるなら、それは新たな好物になる。しばらく本城雅人の文庫本を買い漁ろう。



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by non-grata | 2013-02-02 17:46 | 読書

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