おっさんノングラータ

どちらも波乱含み|『宇宙戦艦ヤマト2199 第四章』感想

すっかり恒例となった、公開初日鑑賞&1万円のお布施(BDとパンフレットを劇場で購入)。テレビ放映も決まったそうで、めでたしめでたし……って、日5ですか! てっきり深夜枠と思ってた。




d0252390_1324529.jpg『宇宙戦艦ヤマト』がエポックだったのは、それまでの勧善懲悪でない、敵には敵の都合があるという設定だった。戦争が外交の延長であるということは、クラウゼヴィッツより先にアニメで学んだ。もちろん、人間同士の戦争を扱った『機動戦士ガンダム』のほうが、よりリアルにそのことが感じられたが、対異星人である『ヤマト』のほうが、戦争の在り方がはっきり描かれていたように思う。

以下、ネタバレ。

第四章では第一次外惑星戦争とでも呼ぶべきガミラスとの戦い、その発端の真相が明らかにされる。通説とは異なり、先に手を出したのは地球側だった。もっとも、平和裡に事を進めようとしたところで、メリダ・ディッツが言った通り、降伏すれば寛大な措置がとられ(やったね! ガミラス二級市民だ)、さもなくば破滅するまで徹底抗戦を強いられるので結果は同じだったかもしれない。地球にしてみればガミラスの属国になる選択肢はなく、独立を選ばざるを得ない──ならば宣戦布告されたのと同じではないか。まさに事実は一つ、真実は立場の数だけあるのだ。

箝口令が出されているはずだったこの事実はヤマト艦内にわずかずつ浸透し始め(機関室は会社の給湯室かっての)、クルーの結束を揺るがすことになる。もともと「イズモ計画」寄りだった新見(意外に少女趣味)はこの機に乗じて揺さぶりをかける……らしい。もともと真田が謀反を起こす設定だったらしいが、その役目を薫ちゃんが引き受けるのだろうか。

さて、一枚岩でないのはヤマト側だけではないことが、第四章で描かれる。ガミラスの将星たちの間でも、モチーフにしているドイツ軍同様に軋轢が生じ始めている。国民人気の高いロンメル=ドメルは、テレビ・シリーズではヤマトの好敵手に過ぎなかったが、『2199』ではデスラー政権への影響力も持ちそうだ。あるいはデスラー暗殺計画が行われ、その嫌疑がかけられるかもしれない。いずれにしてもガミラスの政治体制が盤石でないことが、物語のキー・ストーンになるに違いない。

正義の反対は別の正義であることを、最初のテレビ・シリーズは教えてくれた。『ヤマト』を、太平洋戦争に負けなかった日本の仮想戦記と揶揄する声もある目が、勝利した上でその結論に達した意味は大きい。冷戦構造健在だった当時、西は正義、東は悪という図式が一般的だったのだ。パックス・アメリカーナが過去のものとなり、日本が凋落し、軍事的にも経済的にも中国が台頭してきた21世紀、正義を、戦争を、『2199』がどう描いてくれるのか、非常に楽しみである。



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by non-grata | 2013-01-16 13:24 | 映画

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