おっさんノングラータ

二人にはタッチャブルなネタ|『最強のふたり』感想

アニメ『中二病でも恋がしたい』が最終回を迎えまして、さすがの京アニ・クオリティはおいとくとしても、最後の一ひねりが意外性をもたらせてくれて、実に面白かった。ガール・ミーツ・ボーイ&ボーイ・ミーツ・ガールという螺旋構造だったんですね。そこがまた中二病らしくてよろしいじゃありませんか。

中二病が目的化してしまうといたたまれないですが、退屈な現実(と書いて「リアル」とルビを振る)を変える手段としてなら大ありだ──というのが、最後のナレーションの趣旨なんでしょう。




d0252390_8301383.jpg金はあるけれど事故で頸椎を損傷し、首から下が麻痺したフィリップ(フランソワ・クリュゼ )と、失業保険目当てで彼の介護に応募して、その飾らない態度が気に入られて本採用されたドリス(オマール・シー )との間で芽生えた友情を描く感動作、ということになるだろうか。フランスが抱える問題がその傍流に描かれる。その最たるは、貧困のために仕事に就く機会さえ得られない移民の貧困層。「失業保険目当て」と書いたが、就職活動をしたけれど、3回NGを食らうと失業保険が出るシステムになっている。ドリスは最初から自分が職に就けないとわかっていて、フィリップの介護士募集に応じるのである。

移民は学がなく、まともに働く気がない。そんな偏見もある。ここからはネタバレになるが、きちんと職に就いたドリスは、貯めた金で運転免許を取得し、再就職に成功した。フィリップとの交流で身につけた芸術に関する知識も、面接で役立った。適切な教育とチャンスが与えられれば、成功を収めることができるのだ。

白人の富裕層がどれだけレッテルを貼るのが好きかは、フィリップがしかけたいたずらでも明らかだ。その結果に対して調子に乗るドリスと、それを諫めるフィリップが面白い。

二人とも、差別される側であり、逆差別される側でもある。しかし二人の間にはそのどちらもない。この関係は最強だ。だから、「そのネタは笑えない」とフィリップが顔をしかめたドリスのいたずらでも、最後には二人して笑い飛ばせる*。ネタにされた独裁者は、障害者は断種、有色人種は劣等民族と決めつけていた。1940年5月、電撃的侵攻でフランスを征服しながら、あと一歩のところで連合軍部隊を取り逃がしたのがダンケルクだったのだ。ダンケルクからイギリスへ撤退した部隊は、後にヨーロッパ解放の原動力となる。その地で、フィリップとドリスは永遠の友情を確かめ合った。何とも象徴的なエピソードである。

* ヨーロッパのナチ・アレルギーは相当なもので、プラモデルのパッケージであってもハーケンクロイツは塗り潰されているし、デカールも分割されてぱっと目にはわからないようにしてある。



[PR]



by non-grata | 2012-12-21 09:28 | 映画

今年は何でも五つ星
by non-grata
プロフィールを見る
画像一覧
S M T W T F S
1
2 3 4 5 6 7 8
9 10 11 12 13 14 15
16 17 18 19 20 21 22
23 24 25 26 27 28 29
30

フォロー中のブログ

最新のトラックバック

検索

ブログパーツ

最新の記事

外部リンク

ファン

ブログジャンル

画像一覧