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おっさんノングラータ

これも一つの終活|『世界から猫が消えたなら』感想

猫が寝室から出ると言ってうるさいのでドアを開け、いったい何時やと思うてんねんと時計を見たら2時22分。猫の時間でした。ちょっと恐かった。




これも一つの終活|『世界から猫が消えたなら』感想_d0252390_1855284.jpg新聞の書評で取り上げられていたし、映画館で配られるフリー・ペーパーでも紹介されていて、家人も読むというので買うことにした一冊。しかし「LINE初の連載小説」だと知っていたら、果たして買ったかどうか……先入観って恐い。

あー、あんた明日死ぬから。でも死にたくないでしょ。だったら身の回りのものから一つ消すことで一日寿命延ばしてあげるから。前田敦子なら消していい? 駄目駄目、対象はこっちで決めるから。あんたはそれを消すか、今死ぬか決めるだけ。最初に消すのは……。というファンタジー。主人公に対するこの問いかけは、そのまま読者にも突き刺さる。あれが消されたら困るかな、消してもらっても大丈夫かな。

そうして考えていくと、自分を見つめることになる。その自分は何かと言えば、周囲を取り巻く人やモノでできた鋳型の空きスペース。いろんな人やモノに影響されて、自分という存在が成り立っているのだということを再認識させられる。

だから、鋳型を構成する一つでもなくなると、自分が自分ではなくなってしまう。何かの喪失と交換に寿命を延ばすなんて、あってはならないことなのだ。

なんてことを考えていると、自分は確実に死に向かっているのだなあ、と感じる。いや逆か。「死」を突きつけられるからそういうことを考えるのか。『渚にて』を読んだ後だから疲れるなあ。

未来に向かって歩いている間はせっせと鋳型をつくっている最中で、鋳型の出来を確かめるようになると、未来が向こうからやって来るようになるのかもしれない。でもって、自分の鋳型に足りないものを確認したら、それを求めて歩いていこう。という気持ちにさせられる。






by non-grata | 2012-12-11 19:21 | 読書

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