おっさんノングラータ

外交官ミステリ|『天皇の代理人』感想

最近寒すぎ><




d0252390_1810416.jpg戦前戦中における日本外交史の謎を、「それ実はこんな裏があって」ということにしちゃった歴史ミステリ。駆け出し外交官・津村と、特命全権大使・砂谷が事件を追いかけるわけだが、タイトルで砂谷の正体がほんのりばれちゃうわけですが。短編連作で4話収録。シェリー酒片手に津村老人が回顧するスタイルで話が進む。

一発目は佐分利公使怪死事件。密室でピストル自殺をした佐分利公使だが、左利きなのに右手にピストルを持っていたり、普段は身綺麗にしている公使が寝間着で自殺するなど謎の多い事件だった。小説では皮肉な結末が用意されているが、その苦みが、この先の事件と日本の行く末を暗示している。

二つ目の事件は近代史のオールスター・キャスト! 吉田茂に白州二郎、大島浩が登場する。砂谷のキャラが(ドラマの)白州二郎とかぶる。キム・フィルビー(ケンブリッジ・ファイブの一人)もいたことだし、あるあると思わせる話。

三つ目、舞台はベルリン。それまでの二つの話は、ホームズ(砂谷)とワトソン(津村)による謎解きを楽しむタイプだったが、一転してスパイ・ミステリ風。二転三転する物語が面白い。

四つ目、今度はスイスへ。戦局いよいよ配色濃くなった日本はアメリカとの講和の道を模索する。そこで登場するのがフリードリヒ・ハック。詳しくはWikipediaでも読んでいただいて……「参考文献」で吹かないように。

短編4作、それぞれ趣が異なる「歴史ミステリ」が面白い。『氷海のウラヌス』も、任務に命をかける男たちの矜持が心地よい物語だったが、本作でも国を憂う男たちの姿に酔わされる。その努力が報われないのがまた!

どうしたってビター・エンドで終わるのは、歴史を知る読者にとって自明の理だが、最後におっと思わせる結末を用意してくれているので読後感は爽やか。難しいかもしれないが、続編に期待したい。



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by non-grata | 2012-12-07 18:54 | 読書

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