おっさんノングラータ

昭和がそんなにすごいのか|『プロ野球「衝撃の昭和史」』(二宮清純)感想

d0252390_8265835.jpg広島カープのファンとしては平成になってあまり良い思い出がなく、ついつい昭和のノスタルジーに惹かれてしまう。という人でなくても、「昭和の野球は面白かった」と嘆くおっさんは多い。特にこの2シーズン、統一球が採用されてホームランが出なくなってからはそんな風潮が強いように思う。

もっとも、時代とともに野球の質も変化しているわけで、当時のレジェンド・クラスと今のレジェンド・クラスはいい勝負になると思うが、一般的なレベルで言えば今のほうが上だろう。本書の野村克也のエピソードを読めばわかるように、クイック・モーションが確立した後で福本豊の盗塁記録を塗り替えることは絶対に不可能なのだ。

それはさておき、「衝撃の昭和史」である。古くは沢村栄治の話から、清原和博のバット投げ事件まで12のエピソードが収録されているが、広島カープのファンとしては、「江夏の21球」の真相に迫る第1章とその前哨戦となる第4章、それから江川渾身のストレートについて語られた第5章が興味深い。

1979年の日本シリーズ、1点リードながら無視満塁の絶体絶命から広島のクローザー・江夏豊が近鉄を零封した。スクイズを読んでウエストしたのが大きかったが、実はその前に代打・佐々木恭介が放った三塁線の際どい当たりが「ファウル」と判断されていた。正確にはサードを守っていた三村敏之のグラブに当たっていればフェア、当たっていなければファウルという際どい状況で、どうにも真相は前者だったらしい。

しかし近鉄ベンチは抗議をしなかった。何故か。その理由が前年の日本シリーズ、大杉勝男の誤審ホームランにあった。1時間19分に及ぶ阪急・上田利治監督の猛抗議は流れを悪くして、結局、ヤクルトが日本一に輝いた。そのことがあって、近鉄・西本幸雄監督と三塁コーチの仰木彬は抗議しなかったのではないか、というのだ。もし抗議していれば、判定は覆らないとしても、流れが別の方向に変わっていたかもしれない。

江川卓が引退を決めたのは、広島市民球場で小早川毅彦にストレートをライト・スタンドに運ばれたことだったそうだが(テレビ中継を見ていた記憶があるが、それはもう素晴らしい弾道だった)、本書を読むと直球へのこだわりがよくわかった。



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by non-grata | 2012-12-03 12:39 | 読書

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