おっさんノングラータ

アルカトラズ幻想

d0252390_13383125.jpg※ネタバレになってしまうことを最初にお断りしておきます。

島田荘司と言えば、猟奇殺人にトンデモ論文、そしてトンデモ推理で万事解決という流れだが、本作では御手洗は登場せず、よって推理は読者自身がしなければならない構成だ。しかし物語の端々にヒントが散りばめられているので、勘の良い人は予測がつくだろう。大枠は予想できたものの、細部(時間的、地理的な矛盾)は全くわからなかった。そうなんだ!

ところで、恐竜絶滅説に小惑星の衝突という、なかなか魅力的な新説が披露された。小惑星の衝突によって粉塵が大気を覆い、という話ではない。地球の重力が変化したという説である。自転速度が低下し、重力が強くなって、その骨格や筋肉では自重を支えきれなくなった──というのがその要旨。人間は、もともと今より弱い重力下で二足歩行を選択するはずだったのに、創造主にとって計算違いが発生したわけである。

カリフォルニア大バークレー校の大学院生ジョン・ハッチソンが、ティラノサウルスが獲物を捕獲できる速さで走るには、脚の筋肉が弱すぎると指摘した。これについては、主食であるトリケラトプスも同様にのろまだったので問題なかった、とする説もあるが、実際のところはよくわからない。また、小惑星の衝突が惑星の自転速度を変えたかも、金星の自転方向が地球と逆なのは、きっと小惑星が衝突したせいだとあったが、JAXAでもまだわからないらしい

なお、B-29の符号に関する件は史実のようである。情報戦では敗北続きだった日本が、最後の最後で優位に立ったものの、その時には情報を役立てる戦力がなかったというのは何とも皮肉である。

本作のキーワードは「重力」。ことあるごとに重力に引っ張られて墜ちていった男が、最後に自分の意志でその軛から逃れる物語である。



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by non-grata | 2012-10-05 14:26 | 読書

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