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おっさんノングラータ

鍵泥棒のメソッド

鍵泥棒のメソッド_d0252390_12522760.jpg「メソッド演技法」とは、「役柄の内面に注目し、感情を追体験することなどによって、より自然でリアリステックな演技・表現を行うこと」なのだそうだ。ウィキペディアにそう書いてあった。

タイトルにある「鍵泥棒」は堺雅人。35歳で定職なし、彼女なし。線路近くの風呂なしアパートで暮らしている。売れない俳優。銭湯にいた殺し屋・香川照之は石鹸で足を滑らせて頭を痛打。記憶を失ってしまう。香川のロッカーの鍵を自分のものと交換し、記憶がなくなったのをいいことに、堺は香川と入れ替わろうとする。香川は売れない俳優に、堺は殺し屋に──もっとも、その正体に気づくのはずっと後で、「羽振りのいいおっさん」程度の認識しかない。

意識して入れ替わった、しかも(売れない)俳優の堺だが、メソッド演技法については勉強不足だったようで、やがて香川の代役を務めなければならない事態に追い込まれてもうまく演じられない。「自然でリアリスティックな演技・表現」を行えないのだ。一方、記憶のない香川は自分が置かれた状況を分析し、その中でベストを尽くそうとする。演技の勉強もする。その差が面白い。

けれども、二人ともあることがきっかけで事態を大きく変化させる行動を取る。その時期は別々だが、きっかけは同じ。「感情を追体験」したのは間違いない。メソッド演技法だ!

もしかすると、大多数の人は広末涼子演じる編集長のように「こうあらねばならない」自分を演じているのかもしれない。それが何かのきっかけで、本当の自分の「内面」に気づいて行動するようになる。それは「こうあらねばならない」自分の亜流かもしれないし、本当の自分かもしれない。それに気づかせてくれる「人生の鍵」が、どこかに落ちてないものだろうか。






by non-grata | 2012-09-24 13:25 | 映画

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