おっさんノングラータ

残穢

d0252390_12395635.jpgもともと霊感は弱いほうなので、名古屋や東京、大阪で一人暮らしをしている時も、あるいは出張や旅行でホテルや旅館、民宿に泊まった時も、金縛りにあったり、いるはずのないものを見たり、聞こえるはずのない音が聞こえたりした経験はなかった。しかし小学生の頃、『はだしのゲン』の原作を読んだか、その映画を観た夜、自分が住んでいる家が建っている土地で、かつて誰かが原爆で殺されたことを認知して、とてつもない恐怖を感じたことがある。それこそ、夜中トイレに行けないくらい。

その恐怖を克服できたのは、「それを言ったら原爆を落とされる前、大正、明治、江戸、室町と時代を遡っていったら、この土地で無念の最期を遂げた人は数え切れないはず」という割り切り。そんなことを言っていたら日本中の土地で心霊現象が発生してしまうではないか。だから気のしても仕方ない、何も出やしない、と。

──『残穢』を読む前にその割り切りができてつくづく良かった。

本書はノンフィクションともメタフィクションともとれる体裁をとっており、引っ越したマンションで異変を感じるという、一読者の手紙から物語が始まる。最初は建物に曰くがあるのかと思えば、どうやら土地に因縁がある。ところがその土地を離れたものにも不幸が降りかかる──「穢」の「残」りである。穢は何代かにわたって伝播するし、触穢した者は自分の家にその穢を持ち帰り、そこからさらに拡散する。時間と空間が穢されるのである。

事故物件と言えばこのサイトが有名だ。作中の登場人物よろしく、「安いから」「面白そうだから」と好んで借りる人もいるみたいだし、自分のように霊感のない者なら大丈夫なようにも思える。が、実に淡々と因縁が解き明かされていく過程を『残穢』で読むと、それが現実のことであり、安易な気持ちで穢に触れるのは極めて危険に思われる。

そう言えば本作を読んでいた最中、耳元で聞こえるはずのない声がきこえ
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by non-grata | 2012-09-20 13:27 | 読書

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