おっさんノングラータ

追想五断章

d0252390_12581774.jpg古書に絡んだミステリを最初に読んだのは、1997年の「このミス」海外部門で1位になった『死の蔵書』で、古書の世界の奥深さにすっかり魅入られた。探してみると「古書ミステリ」あるいは「古書店ミステリ」は意外にあるもので、今でも時々amazonさんにすすめられたりして、カスタマー・レビューを読むとなかなか面白そうで、思わずポチりそうになる。『追想五断章』は、アニメ『氷菓』ですっかり有名になった米澤穂信の「古書店ミステリ」ということになるだろうか。

「古書ミステリ」でないのは、物語の鍵となる古書が架空の同人であるため。亡くなったばかりである、依頼人の父親が書いた五本の短編小説。これが掲載された同人を集めることが、叔父の古書店で働く主人公の任務である。その五本の小説はリドル・ストーリー──結末まで書かれておらず、読者がいかようにも取れる物語であり、依頼主は最後の一行だけ書かれたメモを持っている。一作、また一作と風変わりな作品が見つかっていき、「五断章」が一つの物語を紡ぐことで全体像が見えるという構成。

同じ古書店を舞台にした『ビブリア古書堂の事件手帖』(こちらは古書ミステリ)と比べると色気はないものの、特殊能力を持たない主人公が謎を解明していく過程は安心して読める。そのぶん、事件のトリックも派手なものではない、少なくとも意表を衝くものではないし、主人公の存在感のなさが物足りなくも感じられるが。

なお、購入したのは画像のハードカバーではなく、文庫版。関西空港で購入し、ついつい先が気になって、台湾行きの飛行機で一気に読んでしまった。
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by non-grata | 2012-07-19 13:27 | 読書

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